お金と制度

公的年金等控除の計算式は、年齢と年金の収入と「年金以外の所得」の3つで決まります国税庁の速算表は画像だけなので、全8表・全行を文字に起こしました

2026-09-18 ・ 読了目安 10分

公的年金等控除の計算式は、年齢と年金の収入と「年金以外の所得」の3つで決まります|国税庁の速算表は画像だけなので、全8表・全行を文字に起こしました

年金の所得の計算式は、1つではありません。 65歳未満65歳以上か・年金の収入金額の合計額・そして公的年金等に係る雑所得以外の合計所得金額——この3つの値で使う式が決まり、国税庁の速算表は合計所得金額の区分で3枚+旧基準で1枚の画像で、各画像は65歳未満65歳以上の2つの帯に分かれます——帯として数えると8表です。国税庁タックスアンサー No.1600 ではこの速算表が画像でしか載っていないため、この記事は全行を文字に起こしました。数値は元の画像との突き合わせに加えて、各段階の境目で式がつながるか(境目の金額で両隣の式の結果が一致するか)を全8表で検算しています。

式を決める3つの値

公的年金等は、年金の収入金額から公的年金等控除額を差し引いて所得金額を計算します。

公的年金等に係る雑所得の金額は、上記概要のとおり、年金の収入金額から公的年金等控除額を差し引いて所得金額を計算しますが、具体的には下記の表の年齢の区分および「(a)公的年金等の収入金額の合計額」に対応した「(b)公的年金等に係る雑所得の金額」の計算式を使って算出します。

(国税庁「公的年金等の課税関係」No.1600より)

3つ目の「公的年金等に係る雑所得以外の合計所得金額」は、年金だけの人が0円で済む話ではありません。給与や事業など、年金以外の所得がある年は区分が変わります。区分は次の3つで、表はこの順で変わります。

  • ① 公的年金等に係る雑所得以外の合計所得金額が1,000万円以下
  • ② 同じく1,000万円超2,000万円以下
  • ③ 同じく2,000万円超

表の中で使う記号の対応は、(a) が「公的年金等の収入金額の合計額」、(b) が「公的年金等に係る雑所得の金額」です。(b) の欄の「収入金額の合計額」は (a) の値を表します。

① 雑所得以外の合計所得金額が1,000万円以下(令和2年分以後)

65歳未満

(a) 公的年金等の収入金額の合計額(b) 公的年金等に係る雑所得の金額
60万円以下0円
60万円超 130万円未満収入金額の合計額−600,000円
130万円以上 410万円未満収入金額の合計額×0.75−275,000円
410万円以上 770万円未満収入金額の合計額×0.85−685,000円
770万円以上 1,000万円未満収入金額の合計額×0.95−1,455,000円
1,000万円以上収入金額の合計額−1,955,000円

65歳以上

(a) 公的年金等の収入金額の合計額(b) 公的年金等に係る雑所得の金額
110万円以下0円
110万円超 330万円未満収入金額の合計額−1,100,000円
330万円以上 410万円未満収入金額の合計額×0.75−275,000円
410万円以上 770万円未満収入金額の合計額×0.85−685,000円
770万円以上 1,000万円未満収入金額の合計額×0.95−1,455,000円
1,000万円以上収入金額の合計額−1,955,000円

境目の読み方は「60万円 130万円未満」「130万円以上 410万円未満」のように、前の帯が「未満」で切れて・次の帯が「以上」から始まります。表の最初の帯(65歳未満60万円以下65歳以上110万円以下)では雑所得は0円です。

② 雑所得以外の合計所得金額が1,000万円超2,000万円以下(令和2年分以後)

65歳未満

(a) 公的年金等の収入金額の合計額(b) 公的年金等に係る雑所得の金額
50万円以下0円
50万円超 130万円未満収入金額の合計額−500,000円
130万円以上 410万円未満収入金額の合計額×0.75−175,000円
410万円以上 770万円未満収入金額の合計額×0.85−585,000円
770万円以上 1,000万円未満収入金額の合計額×0.95−1,355,000円
1,000万円以上収入金額の合計額−1,855,000円

65歳以上

(a) 公的年金等の収入金額の合計額(b) 公的年金等に係る雑所得の金額
100万円以下0円
100万円超 330万円未満収入金額の合計額−1,000,000円
330万円以上 410万円未満収入金額の合計額×0.75−175,000円
410万円以上 770万円未満収入金額の合計額×0.85−585,000円
770万円以上 1,000万円未満収入金額の合計額×0.95−1,355,000円
1,000万円以上収入金額の合計額−1,855,000円

③ 雑所得以外の合計所得金額が2,000万円超(令和2年分以後)

65歳未満

(a) 公的年金等の収入金額の合計額(b) 公的年金等に係る雑所得の金額
40万円以下0円
40万円超 130万円未満収入金額の合計額−400,000円
130万円以上 410万円未満収入金額の合計額×0.75−75,000円
410万円以上 770万円未満収入金額の合計額×0.85−485,000円
770万円以上 1,000万円未満収入金額の合計額×0.95−1,255,000円
1,000万円以上収入金額の合計額−1,755,000円

65歳以上

(a) 公的年金等の収入金額の合計額(b) 公的年金等に係る雑所得の金額
90万円以下0円
90万円超 330万円未満収入金額の合計額−900,000円
330万円以上 410万円未満収入金額の合計額×0.75−75,000円
410万円以上 770万円未満収入金額の合計額×0.85−485,000円
770万円以上 1,000万円未満収入金額の合計額×0.95−1,255,000円
1,000万円以上収入金額の合計額−1,755,000円

旧基準:平成17年分から令和元年分まで

公的年金等に係る雑所得の速算表(平成17年分から令和元年分まで)

(国税庁「公的年金等の課税関係」No.1600の表の見出しより)

旧基準の表には①〜③のような「雑所得以外の合計所得金額」による区分がなく、770万円以上が最後の段です。令和2年分以後の①〜③との違いは、区分がないことに加えて、各段の控除額が大きく(0.75の段で旧基準は375,000円・現行は275,000円)、65歳未満の最初の帯が70万円以下65歳以上120万円以下になっている点です。

65歳未満

(a) 公的年金等の収入金額の合計額(b) 公的年金等に係る雑所得の金額
70万円以下0円
70万円超 130万円未満収入金額の合計額−700,000円
130万円以上 410万円未満収入金額の合計額×0.75−375,000円
410万円以上 770万円未満収入金額の合計額×0.85−785,000円
770万円以上収入金額の合計額×0.95−1,555,000円

65歳以上

(a) 公的年金等の収入金額の合計額(b) 公的年金等に係る雑所得の金額
120万円以下0円
120万円超 330万円未満収入金額の合計額−1,200,000円
330万円以上 410万円未満収入金額の合計額×0.75−375,000円
410万円以上 770万円未満収入金額の合計額×0.85−785,000円
770万円以上収入金額の合計額×0.95−1,555,000円

例と検算

No.1600 には、年金の収入が350万円の人の例が2つ載っています。

(例1)令和2年分以後

(1)年齢

65歳以上

(2)公的年金等に係る雑所得以外の

合計所得金額

500万円

(3)公的年金等の収入金額の合計額

350万円

公的年金等に係る雑所得の金額は次のようになります。

3,500,000円×75%-275,000円2,350,000円

(例2)平成17年分から令和元年分まで

(1)年齢

65歳以上

(2)公的年金等の収入金額の合計額

350万円

公的年金等に係る雑所得の金額は次のようになります。

3,500,000円×75%-375,000円2,250,000円

(国税庁「公的年金等の課税関係」No.1600より)

例1の(2)が示す雑所得以外の合計所得金額は500万円なので、使うのは①の表です。65歳以上の「330万円以上 410万円未満」の行の式は「収入金額の合計額×0.75−275,000円」で、例1の式と一致します。同じ「330万円以上 410万円未満」の行でも区分が変わると控除額が下がって、②では175,000円・③では75,000円になります。例2は旧基準(区分なし)の同じ行で、控除額が375,000円に変わります。検算では 3,500,000×0.75=2,625,000 で、2,625,000−275,000=2,350,000・2,625,000−375,000=2,250,000 と、どちらも例の式どおりになりました。

最低55万円」という語は、表にはありません

公的年金等控除について「最低55万円」という言い方が回っていることがありますが、No.1600 のページに「55万」という語は出てきません(本文と表で確認済み)。表が示す最初の帯は、雑所得以外の合計所得金額の区分ごとに 60万円以下(①65歳未満)・110万円以下(①65歳以上)・50万円以下(②65歳未満)・100万円以下(②65歳以上)・40万円以下(③65歳未満)・90万円以下(③65歳以上)と、区分で異なります。

確定申告が要らない線

平成23年分以後は、その年において公的年金等に係る雑所得を有する居住者で、その年中の公的年金等の収入金額が400万円以下であり、かつ、その年分の公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20万円以下である場合には確定申告の必要はありません。

(注2) 公的年金等以外の所得金額が20万円以下で確定申告の必要がない場合であっても、住民税の申告が必要な場合があります。

(国税庁「公的年金等の課税関係」No.1600より)

この記事で扱っていないこと

  • 公的年金等控除の金額そのものの上限(控除額の最大値)の話。この記事の表は「公的年金等に係る雑所得の金額」を求める式で、表の中に「控除額」の列はありません。
  • 源泉徴収の計算や、年金受給者が毎年受け取る「扶養親族等申告書」の記入の話。
  • 退職金(退職所得)や給与(給与所得)の計算の話。
  • 住民税の計算の話。(注2)のとおり、確定申告が要らない年でも住民税の申告が必要な場合があります。

関連する記事

出典

  • 国税庁 タックスアンサー「公的年金等の課税関係」(No.1600・令和8年4月1日現在法令等)

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1600.htm

(2026-09-17 取得・producer がタックスアンサーのコード一覧のページに置かれたリンクから辿りました)。速算表の4枚の画像は文字が取れないため、透過PNGを白背景に合成して読み取り、各段階の境目で式がつながるかの検算(全8表)と、本文の計算例の式との突き合わせで数値を確かめました。