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年金の源泉徴収が要らない線は、令和9年分だけ214万円に上がります65歳未満は164万円——そして令和10年分からは209万円に戻ります

2026-09-16 ・ 読了目安 8分

年金の源泉徴収が要らない線は、令和9年分だけ214万円に上がります|65歳未満は164万円——そして令和10年分からは209万円に戻ります

年金は、支払いのたびに税が天引きされます(源泉徴収)。この天引きをしなくてよい額の線が、令和9年1月1日以後に支払うべき公的年金等から変わります。国税庁の令和8年度改正のパンフレットが示すのは「65歳以上214万円65歳未満164万円」という数字ですが——同じ表に、令和10年分以後の行が並んでいて、そちらは209万円159万円に戻ります。 「上がった」で終わらない並びを、そのまま読みます。

「源泉徴収を要しない公的年金等の額」の表——令和9年分と、令和10年分以後

ロ 基礎控除額の引上げに伴い、源泉徴収を要しない公的年金等の額が次の表のとおり改正されました。

受給者の年齢令和9年令和10年分以後
65歳以上214万円(2階部分のみの場合には137万円209万円(2階部分のみの場合には132万円
65歳未満164万円159万円

(国税庁「令和8年度税制改正に伴う源泉所得税関係の取扱いについて」パンフレット、令和8年4月1日現在法令等より整理)

1年だけ上がって、次の年から戻る——これが表の並びです。理由は、この行の先に並んでいる⑸の行で読めます。

⑸ 物価上昇局面における基礎控除等の対応

令和10年分以後の所得税の基礎控除額及び給与所得控除の最低保障額については、2年ごとに、直前の見直し後のこれらの額に、見直し後2年間における全国消費者物価指数の変化率を乗じた額を基準として見直しを行うことを基本とするものとされました。

(同パンフレット)

令和9年分の引き上げは基礎控除額の改正の受け口で、令和10年分以後は2年ごとの物価連動の見直しに移る——表の2つの列は、この制度の切り替えをそのまま写しています。

この線は「年金が非課税になる年収」ではありません

読み間違いやすい点を先に置きます。この表が答えるのは「源泉徴収を要しないかどうか」の線で、「所得税がかからない額」ではありません。

  • 線を超えた年金が受給者の手元で税負担の対象になる——源泉徴収された税額は、確定申告で年間の所得として精算されます
  • 線に届かなくても、課税関係そのものは制度に在る——65歳以上で年金が110万円以下なら公的年金等に係る雑所得は0円になる、という話は年金だけで暮らしている人の確定申告の記事で扱った速算表の側の行です

そして確定申告不要制度とも別の線です。そちらは「公的年金等の収入金額が400万円以下」かつ「公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20万円以下」の2本立てで、この214万円の表とは並びも意味も違います。同じ「申告しなくてよい」に関係する2つの線が、別の場所に置かれています。

基礎的控除額の表——源泉徴収税額の計算の中身

源泉徴収の線が動いた中身は、次の「基礎的控除額」の表にあります。

受給者の年齢その年中に支払を受けるべき公的年金等の額基礎的控除額(令和9年分)基礎的控除額(令和10年分以後)
65歳以上242万円以下(2階部分のみの場合には163万円以下月割額×25%110,000円18万円未満なら18万円月割額×25%110,000円(17万5,000円未満なら17万5,000円
65歳以上242万円超(2階部分のみの場合には163万円超月割額×25%75,000円(14万5,000円未満なら14万5,000円(同じ欄の行が続きます)
65歳未満213万円以下月割額×25%110,000円14万円未満なら14万円月割額×25%110,000円(13万5,000円未満なら13万5,000円
65歳未満213万円超月割額×25%75,000円(10万5,000円未満なら10万5,000円(同じ欄の行が続きます)

(同パンフレットより整理)

計算式は「公的年金等の月割額×25%+定額」で、最低保障額が括弧で付いています。金額の並びを読むと、令和9年分と令和10年分以後で最低保障の側だけが下がる(18万→17万5,000円、14万→13万5,000円など)——月割額×25%の部分は同じでも、下限の行が違います。

「2階部分のみの場合」という括弧は、表の中で額を137万円163万円に分けています。ただしこの用語の中身(どこからどこまでが2階部分か)は、このパンフレットでは書かれていません——額の行だけが確定しています。

令和8年11月までは変更なし。12月の支払時に、1年分の精算が行われます

令和8年11月までの公的年金等の源泉徴収事務に変更は生じません。

令和8年分の公的年金等(確定給付企業年金法の規定に基づいて支給する年金等を除きます。)の源泉徴収事務において、その支払者は、令和8年12月の年金支払時に、上記イの表の令和9年分の欄の基礎的控除額を用いて計算した1年分の税額と、既に源泉徴収した税額との精算を行うこととなります(この精算により、受給者に還付すべき金額が生じる場合には、その還付すべき金額を原則として公的年金等の支払者から還付します。)。

(同パンフレット)

読み取りのポイントは3つです。

①令和8年の月ごとの源泉徴収は、11月まで変わらない。 新しい基礎的控除額は「令和9年1月1日以後に支払うべき」分から効くもので、令和8年の月ごとの徴収額を動かしません。

②精算するのは支払者です。 12月の支払時に、令和9年分の欄の基礎的控除額で計算した1年分の税額と、その年に既に源泉徴収した税額の差を、支払者が帳消しにします。還付すべき金額が生じた場合は、原則として支払者から還付——受給者が自分で申告する手続きではありません。

12月に支払がなかった人の行が、注に置かれています。

(注)令和8年12月に公的年金等の支払がなく、公的年金等の支払者による上記の精算が行われなかった場合で、令和8年分の公的年金等について源泉徴収された税額があるときには、公的年金等の受給者は確定申告書を提出することにより精算することができます。

(同パンフレット)

12月に年金が入らず、支払者の精算が行われなかった場合だけ、自分の確定申告が精算の口になります。6月12月の年2回支給が基本の中で、この注は実際に当てはまる人が在るから置かれている行です。

なお、この精算の行から除かれている年金が1つあります——「確定給付企業年金法の規定に基づいて支給する年金等を除きます」。行の外に置かれている対象です。

扶養控除等の適用を受けようとする場合は、原則、確定申告です

なお、公的年金等の受給者が、令和8年分の所得税について、上記⑶の改正により新たに扶養親族等の要件を満たすこととなった親族等に係る扶養控除等の適用を受けようとする場合には、原則として、確定申告をする必要があります

(同パンプレット)

支払者からの精算が届く人のほうが原則で、そのうえで扶養の改正で新たに扶養親族の要件を満たすようになった親族の控除を取ろうとする人だけが確定申告の口へ移ります。この⑶(扶養親族等の所得要件の改正——58万円から62万円への引き上げ)は、年末調整の改正の記事と同じ線です。

間違えやすい3つの点

①「214万円=非課税の年収」と読まない。 表が答えるのは源泉徴収の要否で、超えた分は確定申告で年間所得として精算されます。課税が始まる額そのものとは違う行です。

②「基準が上がった」で読み切らない。 同じ表に令和10年分以後の行が並んでいて、209万円(2階部分のみ132万円)・159万円に戻ります。令和10年分以後は2年ごとの物価連動の見直しに移るためです。

③還付の手続きを自分の申告と読まない。 12月支払時の精算と還付は原則として支払者の側で行われます。自分の確定申告が口になるのは、12月に支払がなく精算が行われなかった場合の注の行です。

このページだけでは言えないこと(この記事では扱いません)

  • 「2階部分のみ」の定義——表は額を分けていますが、どこからどこまでが2階部分かの説明はこのパンフレットにはありません
  • 令和9年分以後の月ごとの源泉徴収税額の具体的な計算例(この行を動かすのは税額表の側の話です)
  • 確定給付企業年金法の年金の源泉徴収(精算の行から除かれている対象ですが、そちらの事務の行はこのパンフレットの別の部分です)
  • 住民税の申告の要否——所得税とは別で、市区町村ごとの扱いの差は住民税の申告の記事のとおりです

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