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厚生年金の保険料は基本給だけでは決まりません通勤手当・住宅手当・残業手当も報酬——標準報酬月額は32等級で、決め方も5つあります

2026-09-16 ・ 読了目安 6分

厚生年金の保険料は基本給だけでは決まりません|通勤手当・住宅手当・残業手当も報酬——標準報酬月額は32等級で、決め方も5つあります

「厚生年金の保険料は給与の18.3%」という理解には、2つの抜けが入ります。 1つは掛かる基礎が「給与」でなく標準報酬月額32等級に区分した額)であること。もう1つは、その区分のもとになる報酬に基本給以外の手当が入ることです。日本年金機構の「厚生年金保険の保険料」のページの行をそのまま並べて、保険料の基礎の並びを整理します。

標準報酬月額は32等級です

厚生年金保険では、被保険者が受け取る給与(基本給のほか残業手当や通勤手当などを含めた税引き前の給与)を一定の幅で区分した報酬月額に当てはめて決定した標準報酬月額を、保険料や年金額の計算に用います。

現在の標準報酬月額は、1等級(8万8千円)から32等級65万円)までの32等級に分かれています。

(日本年金機構「厚生年金保険の保険料」)

保険料の計算に使うのは、月給の円の額ではありません。給与を区分に落として等級にした額です——区分の幅の中で月給が多少動いても、等級が変わらなければ保険料は変わりません。

報酬に含まれるもの——手当と現物給与

対象となる報酬の定義は、2つの行から始まります。

ア.被保険者が自己の労働の対償として受けるものであること。

イ.事業所から経常的かつ実質的に受けるもので、被保険者の通常の生計にあてられるもの。

(同ページ)

そして、例が名前を挙げて並んでいます。

報酬の例…は、基本給のほか、能率給、奨励給、役付手当、職階手当、特別勤務手当、勤務地手当、物価手当、日直手当、宿直手当、家族手当、休職手当、通勤手当、住宅手当、別居手当、早出残業手当、継続支給する見舞金等、事業所から現金または現物で支給されるものを指します。

(同ページ)

さらに、現物も含むという行が別にあります。

報酬月額は、通勤手当等を含めた報酬に加え、事業所が提供する宿舎費や食事代等の現物給与(全国現物給与価額一覧表)の額も含めて決定されます。

(同ページ)

通勤手当・住宅手当・残業手当が入らないと思っていると、保険料の基礎を低く読んでしまいます。 現物(社宅の宿舎費・まかない)まで金額に換算されて入る点は、給与明細だけを見ていると出てこない部分です。

賞与にも注意が要ります。

なお、4回以上支給される賞与についても標準報酬月額の対象となる報酬に含まれます。

(同ページ)

月給に算入される賞与と、別口になる賞与(標準賞与額)は、支給回数で分かれます。標準賞与額の側(1回につき150万円の上限で、健康保険側は年間573万円の累計)は、この記事では扱いません——賞与の側の保険料の話は別の行です。

決め方は1つではありません——表で5つ

ページには「標準報酬月額の決め方」の表が置いてあり、5つの方法が並んでいます。

決め方内容(表の行の要約)
資格取得時の決定資格取得した際の報酬に基づいて決め、資格取得月からその年の8月6月1日から12月31日に取得した人は翌年の8月)までの各月の標準報酬とする
定時決定毎年7月1日現在で使用される事業所で、同日前3カ月4月5月6月——いずれも支払基礎日数17日以上。特定適用事業所の短時間労働者は11日以上)に受けた報酬の総額を総月数で除した額を報酬月額として決定し、9月から翌年8月までの各月の標準報酬とする
随時改定昇給・降給等で固定的賃金に変動があり、継続した3カ月間(いずれも基礎日数17日以上)の報酬総額を3で除した額が従前と比べて「著しく高低」(標準報酬月額の2等級以上の変動)を生じた場合、厚生労働大臣が必要と認めたときに改定する
育児休業等終了時の改定被保険者からの届出によって、育児休業等終了日の翌日が属する月以後3カ月間に受けた報酬の平均額に基づき、その翌月から新しい標準報酬月額に改定する
保険者決定算定が困難なとき・算定額が著しく不当なとき・一時帰休による変動があったときなどは、厚生労働大臣が算定する額で決定(改定)する

(同ページの表より整理)

9月に改定される」という話だけを聞いても、全体は分かりません。 入社した月は資格取得時の決定で始まり、9月に定時決定で区切りが付き、そのあとも2等級以上の固定的賃金の変動があれば随時改定、育児休業の終了時には終了時の改定が置かれます。定時決定は「9月から翌年8月までの各月の標準報酬とする」行のとおり区切りを付けるものですが、その間も改定の口が3つ開いています——「一度決まったら翌年8月まで固定」と読まないことです。

なお随時改定の行が示すのは「報酬が動いた」ことではなく、固定的賃金(毎月同じように出る賃金——役付手当や住宅手当など)の変動で3カ月平均が2等級以上動いたことです。残業手当のような変動的な賃金の増減だけでは、行は当てはまりません。

料率は18.3%で固定、折半です

厚生年金保険料率は18.3%で固定されています。

事業主と被保険者とが半分ずつ負担します。

(同ページ)

保険料率は段階引上げが平成29年9月に終わって18.3%で固定と書かれた行で、労使で半分ずつの負担です(明細で引かれるのは、9.15%分に当たる額です)。健康保険の料率は都道府県の事業所割で違うのに対し、厚生年金の料率に地域差はありません——このページの行では、全国どこでも18.3%です。

間違えやすい3つの点

①保険料の基礎を「基本給」と読まない。 通勤手当・住宅手当・残業手当・家族手当などが報酬に入り、宿舎費・食事代の現物給与も含まれます。

②決め方を「9月の定時決定だけ」と読まない。 表は5つ——資格取得時・定時決定・随時改定・育児休業等終了時・保険者決定です。

③随時改定を「給与が動けば発動」と読まない。 行は固定的賃金の変動で継続3カ月の平均が2等級以上動いた場合です。

この記事で扱っていないこと

  • 各等級の境目の額の表(1等級8万8千円から32等級65万円までの32区分の中身)——このページは等級の両端の行だけを示し、全行の表は保険料額表の側にあります
  • 標準賞与額の計算と上限(別の記事で扱います)
  • 健康保険の標準報酬月額との共通性・違いくわえ(厚生年金保険と健康保険は標準報酬月額を共有する仕組みですが、このページは厚生年金保険の側の行だけを示します)
  • 海外勤務者に係る報酬の取り扱い(ページが別の PDF を案内している範囲)

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出典