どちらか一方を選ぶ——排他は双方向
セルフメディケーション税制は医療費控除の特例であり、通常の医療費控除との選択適用となりますので、いずれか一方を選択して適用することになります。したがって、セルフメディケーション税制の適用を受けることを選択した納税者は通常の医療費控除を受けることができず、通常の医療費控除を受けることを選択した納税者はセルフメディケーション税制の適用を受けることはできません。
(国税庁タックスアンサー No.1131)
| 選んだもの | その年に受けられないもの |
|---|---|
| セルフメディケーション税制 | 通常の医療費控除 |
| 通常の医療費控除 | セルフメディケーション税制 |
(同上より整理)
片側だけが閉じるのではありません。 出典は「したがって」の文で、両方の向きを同じ形で言い直しています。
医療費が下限を超えていても、併用はできない
また、セルフメディケーション税制の適用を受ける場合には、この特例の対象となる特定一般用医薬品等購入費以外の医療費の額が通常の医療費控除の適用下限額(10万円と総所得金額等の5パーセント相当額のいずれか低い方の金額)を超える場合であっても、通常の医療費控除を併せて受けることはできません。
(同上)
この行には3つの言葉が詰まっています。
- 「特定一般用医薬品等購入費以外の医療費の額」——病院の治療費など、セルフメディケーション税制の対象ではない医療費の側の金額です。
- 「適用下限額(10万円と総所得金額等の5パーセント相当額のいずれか低い方の金額)」——「10万円」だけではありません。所得によっては5パーセントのほうが低くなり、そちらが下限になります(入口の記事で扱う線と同じものです)。
- 「超える場合であっても…併せて受けることはできません」——下限を超えた医療費が十分にあっても、セルフメディケーション税制と通常の医療費控除を足して受けられないと、出典自身が言っています。
「ドラッグストアの買い物はセルフメディケーションで、病院の分は通常で」と分けて申告する形は、この行では成り立ちません。
選択は、申告のあとも変更できない
(注)セルフメディケーション税制の適用を受けることを選択して確定申告書を提出した場合には、その後において納税者が更正の請求や修正申告書により、セルフメディケーション税制から通常の医療費控除へ適用を変更することはできません。同様に通常の医療費控除を受けることを選択した場合も変更できません。
(同上・注)
変更できないのは片方向ではありません。 セルフメディケーション税制から通常の医療費控除への変更、その逆の変更——どちらも更正の請求や修正申告書ではできません。「あとで得なほうに直せる」という読み方は、この注に書かれている行ではありません。
なお、このページは選択の線だけを書いていて、どちらが得かを比べる方法は書かれていません(セルフメディケーション税制側の控除額の形は、取組の側の記事で扱います)。
間違えやすい3つの点
①「余った医療費はもう一方に回せる」と読まない。 選択適用で併用はできず、下限を超えていても併せて受けられません。
②下限を「10万円」と読まない。 出典の括弧の中は「10万円と総所得金額等の5パーセント相当額のいずれか低い方」です。
③「あとで直せる」と読まない。 変更は更正の請求・修正申告でもできず、通常の医療費控除を選んだ側も同じです。
この記事で扱っていないこと
- どちらの選択が得かの比べ方(1131 は書いていません。金額の計算に入る判断はこの記事ではしません)
- セルフメディケーション税制の「一定の取組」の中身・証明の書類(1129・1133・1134 の側)
- 対象となる医薬品の範囲(1132 の側。品目一覧は厚生労働省)
- 通常の医療費控除の計算・対象になる医療費の範囲(1120・1122 の側)
関連する記事
- 医療費控除は「10万円から」ではありません — 適用下限額「10万円と総所得金額等の5パーセント相当額のいずれか低い方」の行を、通常の医療費控除の側から扱います
出典
- 国税庁タックスアンサー No.1131「セルフメディケーション税制と通常の医療費控除との選択適用」[令和8年4月1日現在法令等] https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1131.htm (2026-09-17 取得)




