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セルフメディケーション税制の「一定の取組」は6つ家族全員の健診は要らず、人間ドックの費用自体は控除に入らない

2026-09-16 ・ 読了目安 9分

セルフメディケーション税制の「一定の取組」は6つ|家族全員の健診は要らず、人間ドックの費用自体は控除に入らない

セルフメディケーション税制の門は「一定の取組」ですが、この中身を知らないまま確定申告に来て、「健診を受けた証明は何を出すのか」で止まります。 国税庁は取組を6つに挙げ、同じ内容を条文の側では5つにまとめています。取組をするのは申告する人自身だけでよく、家族の分は要りません。そして人間ドックなど取組に要した費用そのものは、この控除の対象になりません——取組は「したこと」の証明であって、費用を入れる口ではありません。この記事では国税庁タックスアンサー No.1129・No.1133・No.1134 のとおりに、6つの取組、5つとの数え方の違い、証明の書類、選択の取り消しができないことを整理します(医療費控除の入口の線は別の記事で扱います)。

セルフメディケーション税制とは(出典の枠)

健康の保持増進および疾病の予防への取組として一定の取組を行っている方が、自己または自己と生計を一にする配偶者その他の親族のために特定一般用医薬品等購入費を支払った場合には、一定の金額の所得控除(医療費控除の特例)を受けることができます。

(国税庁タックスアンサー No.1129)

セルフメディケーション税制は医療費控除の特例であり、通常の医療費控除との選択適用となります。したがって、この特例の適用を受ける場合は、通常の医療費控除を併せて受けることはできません。

(同上)

控除額は、「実際に支払った特定一般用医薬品等購入費の合計額(保険金などで補填される部分を除きます。)から12,000円を差し引いた金額(最高88,000円」です(同上)。

6つの取組(No.1129の並び)

具体的には、次の取組が「一定の取組」に該当します(No.1129)。

#取組
1保険者(健康保険組合、市区町村国保等)が実施する健康診査〈人間ドック、各種健(検)診等〉
2市区町村が健康増進事業として行う健康診査〈生活保護受給者等を対象とする健康診査〉
3予防接種〈定期予防接種、インフルエンザワクチンの予防接種〉
4勤務先で実施する定期健康診断〈事業主健診〉
5特定健康診査(いわゆるメタボ健診)、特定保健指導
6市区町村が健康増進事業として実施するがん検診

5つとも6つとも書ける——数を書くときは、どの出典から引いたかを添える

同じ内容は、条文の側の案内(No.1133「健康の保持増進及び疾病の予防への取組を行っている場合」)では5つにまとめられています。対応は次のとおりです。

No.1129(6つ)No.1133(5つ)
1 保険者の健診 + 2 市区町村の健康増進事業の健診(1)健康診査〈いわゆる健康診査。保険事業や健康増進事業として行われる人間ドックなど〉
3 予防接種(2)予防接種
4 事業主健診(3)事業主健診
5 メタボ健診・特定保健指導(4)特定健康診査または特定保健指導〈メタボ健診など〉
6 市区町村のがん検診(5)がん検診〈市町村が健康増進事業として行う乳がん、子宮がん検診など〉

(国税庁タックスアンサー No.1129・No.1133 より整理)

「6つ」と「5つ」は、どちらかが間違っているのではなく、並べ方が違います——1133 の(1)が、1129 の 1 と 2 を1つにまとめた形です。「取組は5種類」「取組は6種類」と数字だけの記事を読み比べると、合わないことになります。

No.1133 にしか書かれていないものが3つあります。

  • 任意のインフルエンザの予防接種。 (2)は「高齢者の肺炎球菌感染症およびインフルエンザの予防接種ならびに任意のインフルエンザの予防接種など」と述べます。1129 は任意かどうかを言っていないので、「会社の補助で打った任意のインフルエンザは取組に入るか」は 1133 でしか答えられません。
  • 会社の健診を蹴って、他の医師で受けた場合。 (3)は、労働者が「事業者の指定した医師が行う健康診断を受けることを希望しない場合」に、他の医師が行う健康診断に相当する健康診断を受け、その結果を証明する書面を事業者に提出したときの健康診断を含めます(労働安全衛生法第66条第5項ただし書)。書面を出していれば、指定医以外での受診も取組になります。
  • 乳がん・子宮がん検診までの下り。 (5)の例示が「市町村が健康増進事業として行う乳がん、子宮がん検診など」まで下りています。

取組をするのは、申告する人自身だけ

なお、申告される方が「一定の取組」を行っている必要があります(申告される方と生計を一にする配偶者その他の親族の方が「一定の取組」を行っている必要はありません。)。

(同上・No.1129)

「家族みんなが健診を受けていないと使えない」ではありません。 取組が要るのは申告する人自身で、生計を一にする家族の分は問われません。逆に言えば、家族が健診を受けていても、申告する人自身がその年に取組をしていなければ、この特例の門は通りません。

人間ドックの費用そのものは、控除に入らない

なお、一定の取組(人間ドックなど)に要した費用は、セルフメディケーション税制による医療費控除の対象となりません。

(同上)

出典が名指しで書いている行です。健診代や予防接種代は、取組をしたことを証明するものであって、控除の計算に入れる費用ではありません。この控除で数えるのは、対象となる医薬品の購入費の側です。

選択は、後から変えられない

これらのいずれかの適用を選択した後、更正の請求や修正申告によりこの選択を変更することはできません。

(同上)

「通常の医療費控除」との選択適用で、選んだあとに更正の請求や修正申告でも変更はできません。出典はここまでを書いていて、どちらが得かを比べる方法までは書いていません。

証明の書類(No.1134の具体例)

取組を行ったことを明らかにする書類は、取組の種類に応じて次の書類が該当します(No.1134)。

取組該当する書類記載が要るもの(出典の注)
インフルエンザの予防接種・定期予防接種(高齢者の肺炎球菌感染症等)領収書または予防接種済証
市区町村のがん検診領収書または結果通知表
職場で受けた定期健康診断結果通知表「定期健康診断」という名称または「勤務先名称」
特定健康診査領収書または結果通知表「特定健康診査」という名称または「保険者名」
人間ドックやがん検診を始めとする各種健診(検診)領収書または結果通知表「勤務先名称」または「保険者名」

(国税庁タックスアンサー No.1134 より整理)

「健診を受けたことを示す紙なら何でもいい」ではありません。 職場の健診・メタボ健診・各種健診の行は、名称または勤務先名・保険者名の記載が要ります。書類の条件は 1129 の側にもあって、「(1)氏名(2)取組を行った年(3)取組に係る事業を行った保険者、事業者もしくは市区町村の名称または取組に係る診察を行った医療機関の名称もしくは医師の氏名」の記載があるものに限られます。

記載のある書類を用意できないときは、

(3)から(5)について上記の記載のある領収書や結果通知表を用意できない方は、勤務先または保険者に一定の取組を行ったことの証明を依頼し、証明書の交付を受ける必要があります。

(同上・注1。詳しくは厚生労働省ホームページに掲載の「一定の取組の証明方法について」(チャート)——チャートの本体は国税庁のページには無く、厚労省の側にあります

保存の線も、添付の線と切り離して読みます。令和3年分以後の確定申告書を令和4年1月1日以後に提出する場合は、この書類の添付または提示は不要ですが、確定申告期限等から5年を経過する日までの間、税務署から提示または提出を求める場合があります(注2)。「いまは添付不要だから捨てていい」ことにはなりません。

間違えやすい3つの点

①「家族が健診を受けていれば自分の分も要らない」とも「家族の分も要る」とも読まない。 要るのは申告する人自身の取組だけで、家族の分は問われません(1129 の「なお」の行)。

②健診代を控除の計算に入れない。 一定の取組(人間ドックなど)に要した費用は対象外——出典が名指しで書いています。数えるのは医薬品の購入費です。

③「後から有利なほうに直せる」と読まない。 選択適用で、選んだあとの変更は更正の請求や修正申告でもできません。

この記事で扱っていないこと

  • 対象となる医薬品の成分・品目(コード1132 の側。品目一覧そのものは厚生労働省の「対象品目一覧」で、国税庁のページにはありません)
  • 対象商品の識別マークの話(1129 に図版とともに案内がありますが、この記事では扱いません)
  • セルフメディケーション税制の明細書の様式そのもの(1129 の「提出書類等」の1)
  • 年末調整での取り扱い(この記事で引いた3つのページは、いずれも確定申告を前提に書かれています)
  • 厚生労働省の「一定の取組の証明方法について」(チャート)の内容(注1 が案内するのみで、本文は無いので書きません)

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出典