お金と制度

賞与の社会保険料の上限は2つあります健康保険などは年間573万円の累計、厚生年金などは月間150万円——支援金の内訳を明細に分けて書くのは義務ではありません

2026-09-16 ・ 読了目安 6分

賞与の社会保険料の上限は2つあります|健康保険などは年間573万円の累計、厚生年金などは月間150万円——支援金の内訳を明細に分けて書くのは義務ではありません

夏と冬の賞与で引かれる社会保険料は、多くの人が思うより複雑な枠を持っています。枠は制度ごとに2つの数え方に分かれていて、健康保険などは年間573万円の累計、厚生年金保険などは月間150万円です。数え方が違うので、夏と冬の賞与の合わせ方で結果が変わります。「賞与の保険料は年150万円まで」という言い方が流れていますが、これは2つのうち1つだけを言った行です。この記事では、協会けんぽの令和8年度保険料額表とこども家庭庁の資料の行をそのまま並べて、賞与に係る社会保険料の並びを整理します。

上限の行——表の注に2つ並んでいます

賞与に係る保険料額は、賞与額から1,000円未満の端数を切り捨てた額(標準賞与額)に、保険料率を乗じた額となります。

また、標準賞与額の上限は、健康保険、介護保険及び子ども・子育て支援金は年間573万円(毎年4月1日から翌年3月31日までの累計額。)となり、厚生年金保険と子ども・子育て拠出金は月間150万円となります。

(全国健康保険協会「令和8年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表」(東京支部))

制度上限数え方
健康保険・介護保険・子ども・子育て支援金573万円年間の累計4月1日から翌年3月31日
厚生年金保険・子ども・子育て拠出金150万円月間1回ごと。同じ月に2回以上の賞与は合算)

夏の賞与で150万円を超えても、健康保険側の573万円にはまだ余裕が残ることがあります。 逆に、573万円が年間累計なので、夏に大きく出して冬に枠を使い切った人と、2回に分けて配った人では、途中の月の保険料が違ってきます。「賞与の保険料は年150万円まで」と読むと、厚生年金の側しか言っていない行を、全部の制度に被せてしまいます。

なお標準賞与額は、賞与額から1,000円未満の端数を切り捨てた額です——表の料率を自分で掛ける人のための行です。

子ども・子育て支援金——令和8年4月分から、率0.23%

同じ表に、新しい制度の行が並んでいます。

子ども・子育て支援金率:令和8年4月分(5月納付分)~適用

(同表の見出し行)

  • 支援金率は 0.23%(健康保険料率9.85%の列の隣に同じ幅で並んでいます)
  • 介護保険第2号被保険者(40歳から64歳まで)は、健康保険料率9.85%と支援金率0.23%介護保険料率1.62%が加わります

(同表より整理)

こども家庭庁の資料は、負担の分かれ方をこう書きます。

基本的に支援金額の半分を企業のみなさまに拠出いただきます

(こども家庭庁「子ども・子育て支援金制度」の資料)

つまり労使で折半です。同じ資料は、徴収の仕方も書いています。

賞与からも支援金を拠出いただきます(標準賞与×支援金率)。

医療保険の保険料とあわせて徴収します

(同資料)

「医療保険の保険料とあわせて」——ここが、次の見出しにつながります。

明細に支援金の行が無いのは、「引かれていない」の証明ではありません

天引きの明細を見て「支援金の行が無い」と読む人向けに、政府側の資料はこう書いています。

保険料額の内訳として支援金額を示すことは法令上の義務ではありませんが、本制度が社会全体でこどもや子育て世帯を応援する趣旨であることを踏まえて、給与明細にその内訳を記載する取組についてご理解・ご協力をお願いします

(同資料)

義務なのは健康保険料とあわせての徴収であって、明細での内訳表示ではありません。 書くかどうかは事業主の取組に委ねられているので、明細に支援金の行が無くても、料率のぶんは健康保険料と一緒に引かれています。逆に、内訳が出ている勤務先では、明細の行から0.23%の額を読み取れます。

厚生年金の拠出金は、被保険者の負担ではありません

表の注には、名前が似た別の制度の行もあります。

事業主の方は、児童手当の支給に要する費用等の一部として、子ども・子育て拠出金を負担いただくことになります。(被保険者の負担はありません。) この子ども・子育て拠出金の額は、被保険者個々の厚生年金保険の標準報酬月額および標準賞与額に、拠出金率(0.36%)を乗じて得た額の総額となります。

(協会けんぽの保険料額表)

支援金(0.23%・労使折半・健康保険側)と拠出金(0.36%・事業主負担・厚生年金側)は別の制度です。 名前も率も数え方も近いので混ざりやすい——けれど、自分の天引きに乗るのは支援金の半分だけで、拠出金は乗りません。上限の行に両方が並んでいたのは、どちらも標準賞与額を底にしているからです。

「負担が増えた」の読み方

令和8年4月分から始まった支援金は、従前に無い率0.23%が加わった点で、被保険者と事業主の負担が増える制度です。その一方で、こども家庭庁の資料は使途をこう書きます。

総額3.6兆円のこども・子育て支援の拡充を実施することを決めました。支援金制度はこれを支える財源の一部です。

(同資料)

「増えた」は料率の面では事実——そのうえで、制度全体として給付側(児童手当の拡充や出産・育児の支援給付)とどう対になるかは、この記事では判定しません。読めるのは「料率が加わった」と「財源として給付の拡充に充てる」という2つの行までで、世帯ごとの得損の計算は、この2つの資料からは出せないからです。

このページだけでは言えないこと(この記事では触れません)

  • 0.23% が全国一律かどうか——引用した表は協会けんぽ東京支部の表です。組合健保や他の支部を含めた一律性は、この表からは読み取れません
  • 支援金が源泉徴収の「社会保険料等」控除に入るか——入るなら所得税への影響も読めるようになりますが、今回は確かめられていません
  • 任意継続被保険者の標準報酬月額の上限(表には32万円とありますが、賞与には係らない別の話です)
  • 給与(月額)側の標準報酬月額の等級の話——この記事は賞与側だけを扱います

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出典