食事の現物支給——3,500円から7,500円へ
⑴ 使用者からの食事の現物支給に係る所得税の非課税限度額が、月額7,500円(改正前:月額3,500円)に引き上げられました。
⑵ 使用者が深夜勤務に伴う夜食の現物支給に代えて支給する金銭について所得税が非課税とされる1回の支給額が、650円以下(改正前:300円以下)に引き上げられました。
(国税庁「令和8年度税制改正に伴う源泉所得税関係の取扱いについて」パンフレット)
これらの改正は、令和8年4月1日以後に支給する食事等について適用されます。
(同パンフレット)
まかない・食堂の弁当は「現物支給」で、月7,500円までは所得税が掛かりません(改正前は3,500円でした)。⑵は逆で、夜食を実物でなくお金で渡すときの線です——1回650円以下が非課税。実物なら⑴の枠、お金なら⑵の枠と、渡し方で行が分かれています。
通勤手当の表——「同左」の中に、引き上げられた行が混ざっています
パンフレットの「改正後(令和8年4月1日以後適用)」と「改正前」を並べた表を、そのまま写します。
| 区分 | 非課税になる金額(改正後) | 改正前 |
|---|---|---|
| ① 交通機関・有料道路を利用する人に支給する通勤手当 | 1か月当たりの合理的な運賃等の額(最高限度 150,000円) | 同左 |
| ② 自動車・自転車などで通勤する人の通勤手当 | 通勤距離の区分で4,200円〜66,400円(下の表) | 同左(ただし片道65km以上は引き上げ) |
| ③ 自動車などで通勤し、一定の要件を満たす駐車場等を利用する人(片道2km未満を除く) | ②の金額と1か月当たりの駐車場等の料金相当額(上限5,000円)との合計額 | ―(行が無い) |
| ④ 交通機関を利用する人に支給する通勤用定期乗車券 | 1か月当たりの合理的な運賃等の額(最高限度 150,000円) | 同左 |
| ⑤ 交通機関+交通用具の両方を使う人の通勤手当・定期乗車券 | ①か月当たりの合理的な運賃等の額と②の金額との合計額(最高限度 150,000円) | 同左 |
| ⑥ ⑤の人で一定の要件を満たす駐車場等を利用する人(片道2km未満を除く) | ⑤の合計額と1か月当たりの駐車場等の料金相当額(上限5,000円)との合計額(最高限度 150,000円) | ―(行が無い) |
(同パンフレットより整理)
改正前の列の「―」が示すのは、その行自体が改正前の表になかったことです。車で通勤して駐車場にお金を払っている人は、改正前の表では②の距離の区分の金額だけが非課税の枠でした。改正後は、駐車場の料金相当額(上限5,000円)を上乗せした額までが非課税になります。
②の距離の区分の表は、次のとおりです。
| 通勤距離(片道) | 非課税限度額 |
|---|---|
| 2km未満 | 全額課税 |
| 2km以上 10km未満 | 4,200円 |
| 10km以上 15km未満 | 7,300円 |
| 15km以上 25km未満 | 13,500円 |
| 25km以上 35km未満 | 19,700円 |
| 35km以上 45km未満 | 25,900円 |
| 45km以上 55km未満 | 32,300円 |
| 55km以上 65km未満 | 38,700円 |
| 65km以上 75km未満 | 45,700円 |
| 75km以上 85km未満 | 52,700円 |
| 85km以上 95km未満 | 59,600円 |
| 95km以上 | 66,400円 |
(同パンフレットより整理)
パンフレットが改正前と並べる形では、55km以上65km未満の38,700円までが「同左」で、65km以上の4つの区分(65〜75km=45,700円・75〜85km=52,700円・85〜95km=59,600円・95km以上=66,400円)が引き上げられた行です。片道2km未満は「全額課税」——近すぎる通勤には非課税の枠が置かれません。この行は改正の前後で「同左」です。
「一定の要件を満たす駐車場等」の注
③⑥の「駐車場等」には注が付いています。
(注)1 「一定の要件を満たす駐車場等」とは、通勤のために使用する交通用具の駐車のための施設のうち、その通勤手当の支払を受ける人の勤務する場所の周辺又はその人が通勤のために利用する交通機関の駅若しくは停留所その他の施設の周辺にあるものをいいます。
2 「1か月当たりの駐車場等の料金相当額」とは、駐車場等の料金が月単位で定められている場合には、その料金の額……駐車場等の料金が年単位で定められている場合には、その料金の額を12……で除して計算した金額をいいます(その他、駐車場等の料金が利用の都度負担するものとして定められている場合等の「1か月当たりの駐車場等の料金相当額」の計算については、「通勤手当の非課税限度額の改正に関するQ&A」をご確認ください。)。
(同パンフレット)
勤務地や駅の「周辺」にある駐車場であることが要件の言葉で、月単位・年単位以外の料金の計算は別のQ&Aへ案内されています。
適用の線——4月1日以後の支給から
この改正は、令和8年4月1日以後に支払われるべき通勤手当(同日前に支払われるべき通勤手当の差額として追加支給するものを除きます。)について適用されます。
(同パンフレット)
食事は「支給する食事等」、通勤手当は「支払われるべき通勤手当」——同じ4月1日からでも、以前のぶんの差額として後から足された通勤手当は除くという除外が付いています。3か月分をまとめて払う支払い方をしている職場では、この除外の行が効いてきます。
厚生年金の「現物給与」とは、別の線です
厚生年金保険では、宿舎費や食事代などの現物給与も、標準報酬月額の決定に含まれます(日本年金機構のページが「全国現物給与価額一覧表」で額を決める案内をしています)。一方この記事の表は所得税の非課税限度額で、この枠の中のまかない・通勤手当は所得税が掛からないという行です。
「税が掛からない」の行と「社会保険料の報酬に入る」の行は、別の表に置かれています。 まかない7,500円までは所得税の非課税であっても、厚生年金の側の現物給与の評価の表とは基礎が違う——2つの表を1つに畳めないことが、この記事の読み方の前提です。
間違えやすい3つの点
①まかないの枠を「食費の補助」全部と読まない。 非課税の行は「食事の現物支給」で、月7,500円まで。現物でなくお金を渡す夜食は、1回650円以下の別の行です。
②駐車場加算を「誰でも5,000円上乗せ」と読まない。 加算されるのは、自動車などの交通用具で通勤し、一定の要件を満たす駐車場等を利用している人(片道2km未満を除く)です。交通機関だけの人(①④)の行には加算は置かれていません。
③片道2km未満を非課税と読まない。 表の最初の行は「全額課税」で、改正後も同じです。
このページだけでは言えないこと(この記事では扱いません)
- まかないを通勤手当と同じ総額の枠で数えるかどうか——食事と通勤手当は表の中で別の行で、足し合わせる行はこのパンフレットにはありません
- 宿泊を伴う出張の宿泊料・日当などの他の現物支給の非課税限度額(このパンフレットの表は食事と通勤の行だけです)
- 全国一律かどうか——この記事で引いたのは国税庁のパンフレットの行で、地方税法(住民税)の側の非課税限度額はこの表に並んでいません
- 「通勤手当の非課税限度額の改正に関するQ&A」の中身——注が案内する先で、この記事では開いていません
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出典
- 国税庁「令和8年度税制改正に伴う源泉所得税関係の取扱いについて」(パンフレット・令和8年4月1日現在法令等) https://www.nta.go.jp/publication/pamph/gensen/2026kaisei.pdf (2026-09-17 取得)




