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iDeCoの一時金を受け取ったあとの退職金、勤続期間が重複して数えられない特例が令和8年分から始まります9年内の老齢一時金が対象——源泉徴収票の税務署長提出は「全ての居住者」に広がります

2026-09-16 ・ 読了目安 6分

iDeCoの一時金を受け取ったあとの退職金、勤続期間が重複して数えられない特例が令和8年分から始まります|9年内の老齢一時金が対象——源泉徴収票の税務署長提出は「全ての居住者」に広がります

退職金の税は「(収入−退職所得控除額)×1/2」で、退職所得控除額の側を決めるのが勤続期間です(式の中身は退職金の税の記事のとおり)。国税庁の令和8年度改正のパンフレットは、この勤続期間の数え方に絡む行を令和7年度の税制改正の部分に置いています——企業型年金の一時金を受けたことがある人と、そのあと受ける退職金の間で、勤続期間が重複しないようにする特例です。パンフレットの行をそのまま読みます。

3つの改正は、3行で並んでいます

中身と線
⑴ 重複排除の特例老齢一時金と退職手当等の勤続期間等の重複を除外——令和8年分以後の所得税に適用
⑵ 申告書の保存期間老齢一時金に係る退職所得の受給に関する申告書は10年(改正前7年)——令和8年1月1日以後に支払を受けるべき分
⑶ 源泉徴収票の提出全ての居住者に係る退職所得の源泉徴収票を税務署長に提出——令和8年1月1日以後に支払うべき退職手当等

(同パンフレットより整理)

「老齢一時金」の定義の行

⑴ 老齢一時金 (確定拠出年金法の老齢給付金として支給される一時金をいいます。以下同じです。) 以外の退職手当等の支払を受ける年(以下「受給年」といいます。 )の前年以前9年内に老齢一時金 (令和8年1月1日以後に支払を受けたものに限ります。 ) の支払を受けた場合には、 次に掲げる退職手当等が退職所得控除額の計算における勤続期間等の重複排除の特例の対象とされました。

この改正は、令和8年分以後の所得税について適用されます。

(国税庁「令和8年度税制改正に伴う源泉所得税関係の取扱いについて」パンフレット・令和7年度の税制改正により令和8年以後適用されるもの)

「老齢一時金」は、このパンフレットの中で自分で定義しています——確定拠出年金法の老齢給付金として支給される一時金。iDeCo(個人型)・企業型の確定拠出年金で受け取る一時金の行です。そして令和8年1月1日以後に支払を受けたものに限るという線が、最初の行で置かれています。

重複排除の対象になる退職手当等は、2行で並んでいます

引用の行が示す「次に掲げる退職手当等」は、イとロの2行です。

 令和8年1月1日以後に支払を受けた退職手当等であって、受給年の前年以前9年に支払を受けたもの

 令和8年1月1日前に支払を受けた退職手当等であって、受給年の前年以前4年に支払を受けたもの

(同パンフレットより整理)

並びを読むと、3つの行が重なって対象が決まります。

①老齢一時金の側の線——受給年(退職手当等の支払を受ける年)の前年以前9年内に受けた老齢一時金で、令和8年1月1日以後に受けたものに限る。それより前の老齢一時金は、この特例の材料になりません。

②退職手当等の側の線は2行——イは令和8年1月1日以後に受けた退職手当等で9年内のもの。ロは令和8年1月1日より前に受けた退職手当等で、4年のもの。同じ「退職手当等」でも、受けた時期で線が2本に分かれています。

③適用の線——この改正は、令和8年分以後の所得税について適用されます。

「重複排除の特例」の言葉が示すのは、退職所得控除額の計算における勤続期間等の重複を除外することです。ただし除外の計算の中身(勤続期間をどう数え直すか)は、このパンフレットの行には書かれていません——対象になる物を置く行までです。

申告書の保存期間は10年(改正前7年)になります

⑵ 令和8年1月1日以後に支払を受けるべき老齢一時金に係る退職所得の受給に関する申告書の保存期間が10年(改正前:7年)とされました。

(同パンフレット)

退職所得の受給に関する申告書は、退職金を受け取る人が支払う側へ出す申告書で、源泉徴収票・特別徴収票を作る基礎になります。この⑵の行が示すのは老齢一時金に係る申告書の、支払をする側の保存期間です——7年から10年へ延びます。

源泉徴収票の税務署長提出は「全ての居住者」になります

⑶ 退職手当等の支払をする者は、令和8年1月1日以後に支払うべき退職手当等について、退職手当等の支払を受ける全ての居住者に係る退職所得の源泉徴収票を税務署長に提出しなければならないこととされました。

(同パンフレット)

「全ての居住者」が改正後の言葉です。提出するのは退職金を支払う側(会社など)で、受け取る人の手続きが増える行ではありません。なお改正前はどの人のぶんが提出範囲だったのか(対象外の線)は、このパンフレットに書かれていません——「全ての」になったとだけ読める行です。

間違えやすい3つの点

①老齢一時金の税の区分を、この特例から読み取らない。 パンフレットの行は「退職所得控除額の計算における勤続期間等の重複排除」の対象を置く行で、老齢一時金そのものが退職所得と公的年金等のどちらの区分に当たるかは、この行では答えていません。

9年という線を全部の行で読まない。 老齢一時金の側の線と、イの退職手当等の線は9年ですが、ロ(令和8年1月1日前に受けた退職手当等)は4年です。

③⑶を「退職金をもらう人が税務署へ行く」と読まない。 提出するのは退職手当等の支払をする者の側で、受け取る人の手続きの行ではありません。

このページだけでは言えないこと(この記事では扱いません)

  • 老齢一時金と勤続期間がなぜ重複して数えられていたのかの経緯——このパンフレットは対象を置く行だけで、理由の行はありません
  • 重複排除の特例の計算例・勤続期間の具体的な数え直しの方法(退職所得控除額の式そのものは退職金の税の記事の側です)
  • ロの線が9年でなく4年である理由(経過措置の中身の行はありません)
  • 改正前の源泉徴収票の税務署長提出の範囲の条件——このパンフレットには改正前の行が置かれていません
  • 令和8年1月1日より前に受けた老齢一時金の取り扱い(「以後に支払を受けたものに限ります」の行の外です)

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出典