お金の制度図解

iDeCoの上限が上がるのは2026年12月分から会社員は月2.3万→6.2万円、公務員だけ6.2万円になりません

2026-09-15 ・ 読了目安 18分

iDeCoの上限が上がるのは2026年12月分から|会社員は月2.3万→6.2万円、公務員だけ6.2万円になりません

iDeCo(個人型確定拠出年金)の掛金の上限が上がります。2026年12月1日施行で、2026年12月分の掛金から新しい上限になります。ただし12月分の掛金が口座から引き落とされるのは2027年1月なので、案内によって「2026年12月から」と書かれていたり「2027年1月から」と書かれていたりします。同じ一つの改正です。

会社員(企業年金なし)は月2万3,000円から月6万2,000円へ。自営業・フリーランスは月6万8,000円から月7万5,000円へ。一方で、公務員は6万2,000円にはなりません専業主婦(主夫)は1円も増えません。

この記事は、厚生労働省「2025年の制度改正」ページと、国民年金基金連合会が2026年8月に出した案内2本(PDF)だけを根拠に書いています。数字はすべて原文にある数字です。

結論を先に(月額の上限)

あなたの区分2026年11月分まで2026年12月分から
自営業・フリーランス・学生(第1号)/任意加入(第4号)6万8,000円7万5,000円+7,000円
会社員・企業年金なし(第2号)2万3,000円6万2,000円+3万9,000円
会社員・企業年金あり(第2号)2万円最大6万2,000円最大+4万2,000円
公務員(第2号)2万円5万4,000円(私学共済は5万5,000円)+3万4,000円
専業主婦(主夫)(第3号)2万3,000円2万3,000円±0
60歳以上70歳未満の人(第5号・新設)(加入できない)6万2,000円新設

第1号・第2号(企業年金あり)・公務員・第5号の額は、iDeCo単独の枠ではなく「合算の枠」です。何と合算するのかは、下の区分ごとの説明にあります。

なぜ「2026年」と「2027年」が両方出てくるのか

検索すると「iDeCo改正 2026」と「iDeCo改正 2027」の両方が出てきます。理由は単純で、iDeCoの掛金は翌月に引き落とされるからです。

国民年金基金連合会の案内はこう書いています。

2026年12月分(2027年1月引き落とし分)からiDeCoの拠出限度額が引き上げられます。

つまり、

  • 制度が変わる日=2026年12月1日(施行日)
  • 新しい上限が適用される掛金=2026年12月分から
  • その掛金が口座から引かれる日=2027年1月

の3つが別々の日付になっているだけです。「2027年から」と書いてある記事が間違っているわけではなく、引き落とし日を基準に書いているということです。

会社員 ―― 企業年金の有無による差がなくなります

いまの会社員のiDeCoの上限は、勤め先に企業年金があるかどうかで分かれています。企業年金がなければ2万3,000円、企業型DCやDBがあれば2万円です。

改正後は、この区別そのものがなくなります。厚生労働省の説明はこうです。

第2号加入者のiDeCoの拠出限度額について、勤務先の企業年金の有無等による差異を解消し、企業年金と共通の拠出限度額に一本化したうえで、この共通拠出限度額について、月額6.2万円に引き上げられます。

「企業年金と共通の」という部分が要点です。企業年金がない人は、6万2,000円をまるごとiDeCoに使えます。企業年金がある人は、会社が出している企業年金等の掛金を6万2,000円から差し引いた残りがiDeCoの枠になります。厚生労働省の図では「最大4.2万円増額」と書かれていて、「最大」が付いているのはこのためです。

式にすると 6万2,000円 −(企業型DCの事業主掛金額)−(DB等の他制度掛金相当額) です。自分の枠がいくらになるかは、会社の企業年金の掛金額で決まります。勤め先か、iDeCoの運営管理機関(申し込んだ金融機関)に確認するのが確実です。

公務員 ―― 6万2,000円にはなりません

「イデコ改正 公務員」は検索の多い言葉ですが、ここがいちばん誤解されやすいところです。

公務員も第2号被保険者なので「共通の枠6万2,000円」に入ります。ただし公務員には年金払い退職給付という企業年金にあたる制度があるため、その分が6万2,000円から差し引かれます。国民年金基金連合会の案内には、変更後の掛金額として次の数字が載っています。

加入している共済変更後の掛金額(上限)
国家公務員共済組合5万4,000円
地方公務員共済組合5万4,000円
私学共済5万5,000円
企業型DCやDB等+私学共済5万4,000円

私学共済だけ1,000円多いのは、差し引かれる額(他制度掛金相当額)が共済ごとに違うためです。この額は告示で決まっていて、国家公務員共済・地方公務員共済が8,000円、私学共済が7,000円です(6万2,000円から引くと、そのまま上の表の額になります。下の「自分の上限を知るには」で根拠を示します)。いずれにしても現在の2万円からは2倍以上になります。

自営業・フリーランス ―― 国民年金基金と合わせて7万5,000円

第1号被保険者の枠は6万8,000円から7万5,000円になります。この枠はiDeCoと国民年金基金の合計です。国民年金基金に入っている人は、その掛金月額を差し引いた残りがiDeCoの上限になります。

付加保険料(月400円)を納めている人は、その分だけ枠が減ります。国民年金基金連合会の案内では、付加保険料を納めている人の変更後の掛金額は「6万8,000円以上7万4,000円以下」と書かれていて、そうでない人の「6万9,000円以上7万5,000円以下」より1,000円低くなっています。

専業主婦(主夫)は増えません

第3号被保険者は今回の引き上げの対象外です。国民年金基金連合会の案内に、はっきり書かれています。

第3号被保険者は拠出限度額の引き上げはないので対象となりません。

月2万3,000円のままです。「iDeCoの上限が上がる」というニュースを見て手続きを考えていた方は、第3号なら何もしなくてよいということになります。

60歳以上70歳未満の「第5号」が新設されます

これまでiDeCoに加入するには「国民年金の被保険者であること」が必要でした。会社を辞めて国民年金にも入っていない60代は、それだけで加入できませんでした。

2026年12月1日から、60歳以上70歳未満で国民年金の被保険者でない人も、次の(1)〜(3)のいずれかに当てはまれば加入できます。

  1. iDeCoの加入者である人
  2. iDeCoの運用指図者である人
  3. 企業年金からiDeCoに資産を移換する人

ただし、老齢基礎年金やiDeCoの老齢給付金をすでに受け取っている人、マッチング拠出をしている人は対象外です。厚生労働省のページには「施行日までに老齢基礎年金やiDeCoの老齢給付金を受給した場合は加入不可」とも書かれています。

そして、見落としやすい経過措置があります。

なお、経過措置として、施行日から3年を経過する日までの間は、上記(1)~(3)に該当しない60歳以上70歳未満の者であってもiDeCoの加入が可能です。

最初の3年間は(1)〜(3)に当てはまらない人でも加入できるということです。第5号の上限は、企業年金等と合計して6万2,000円です。

自分の上限を知るには ―― 勤め先に企業年金があるかを確かめる

会社員の上限は、6万2,000円 − 企業型DCの事業主掛金額 − DB等の他制度掛金相当額です。

つまり「勤め先に企業年金があるか」「あるなら会社がいくら出しているか」が分からないと、

自分の上限が何円なのか出せません。ここが分からないまま上限のニュースだけ読んでも、自分ごとになりません。

確かめ方は、厚生労働省と企業年金連合会のページに書かれています。

知りたいことどこで見るか根拠(原文)
企業型DCの会社の掛金企業型DC加入者ウェブサイト「企業型DCの事業主掛金額は、企業型DC加入者ウェブサイトに表示されている。」(厚労省)
DB・厚生年金基金の他制度掛金相当額各制度の規約(加入者に周知される)「確定給付企業年金(DB)、厚生年金基金の他制度掛金相当額は、各規約に記載され、加入者に周知されている。」(厚労省)
公務員・私学などの相当額告示で決まっている(下の表)同上「それ以外の他制度掛金相当額は告示で以下のとおり定められている。」
そもそも企業年金があるか勤め先の人事・総務/給与明細/就業規則「企業年金に加入しているかどうかは、勤務先の人事・総務部門や給与明細、就業規則などで確認することができます。」(厚労省・公的年金シミュレーター)/「企業年金に加入されているかどうか…は勤め先の人事・総務部門等に確かめてみてください。」(企業年金連合会)

告示で決まっている額は次のとおりです。ここが公務員の上限が6万2,000円にならない理由です。

制度他制度掛金相当額6万2,000円から引くと
国家公務員共済組合8,000円5万4,000円
地方公務員共済組合8,000円5万4,000円
私立学校教職員共済制度7,000円5万5,000円
石炭鉱業年金基金9,000円5万3,000円

先に挙げた国民年金基金連合会の案内の数字(5万4,000円・5万5,000円)と、ぴったり一致します。

人事・総務に聞くなら、聞き方があります。「会社はいくら払っていますか」ではなく、

「私のiDeCoの上限計算に使う、他制度掛金相当額は月いくらですか」です。DBの場合、会社が実際に

払い込んでいる掛金の額と、上限計算に使う「他制度掛金相当額」は別の数字だからです。

給与明細の「厚生年金」は企業年金ではありません

企業年金連合会のページに、はっきり書かれています。

給与明細に「厚生年金」とあるのは、この分の保険料の本人負担分が給料から天引きされていることを示しており、この中に国民年金の保険料の分も含まれています

つまり、給与明細に「厚生年金」と載っていても、それは企業年金があるという意味ではありません。

企業年金は「勤め先の会社によっては退職給付制度の一環として…設けているところがある」もので、

あるとは限りません

2024年12月から、会社に証明書を書いてもらう必要はなくなりました

以前はiDeCoに申し込むとき、勤め先に事業主証明書を書いてもらう必要がありました。これは廃止済みです。

令和6年12月1日から、企業等にお勤めの方がiDeCoに加入される際に必要とされていた事業主証明書が廃止されます。

ただし例外があります。

加入者が、掛金を「事業主払込」(給与天引き)で納付することを希望する場合は、引き続き、事業主証明書が必要です。

口座振替にするなら会社に書類を頼まなくてよく、給与天引きにするなら要る、ということです。

「会社に知られたくない」「頼みにくい」で止まっていた人は、ここが変わっています。

掛金を上げるには手続きが要ります(自動では上がりません)

上限が上がっても、掛金の額は自動では変わりません。いま月2万3,000円で積み立てている人は、手続きをしなければ12月以降も2万3,000円のままです。

日付はこうなっています。

時期何があるか
2026年9月頃〜事前受付の開始予定(専用の届出書。運営管理機関へ)
2026年12月1日施行
2026年12月1日〜12月24日e-iDeCo(オンライン手続きサービス)で掛金額を変更できる期間
2026年12月分の掛金から新しい上限が適用(引き落としは2027年1月)
2026年12月1日〜2027年11月30日増額が「年1回」の回数にカウントされない特例期間

この特例は、知らないと損をします。iDeCoの掛金額の変更は通常は年1回までですが、

<特例期間>内に、2026年12月1日施行前の拠出限度額より多い額となるようiDeCo加入者掛金額を初めて増額する場合は、掛金額変更年1回の例外となります。【掛金額変更回数にカウントしません。】

とされています。つまり、この期間に上限アップに合わせて増額しても、その年の変更権を使い切らないということです。

なお、e-iDeCoでの手続きについて、案内には「他のお手続との兼合い等により、12月分の掛金額変更に間に合わないケースがございます。その場合は、2027年1月分以降の反映となります」と注意書きがあります。12月分から上げたい人は、9月頃から始まる事前受付を使うのが確実です。

いくら税金が変わるのか

iDeCoの掛金は全額が所得控除になります。国税庁のタックスアンサーNo.1135「小規模企業共済等掛金控除」には、対象として「確定拠出年金法に規定する…個人型年金加入者掛金」が挙げられ、「控除できる金額は、その年に支払った掛金の全額です」と書かれています。

会社員(企業年金なし)が上限まで積み立てた場合の年間の掛金は、次のとおりです。

月額年額
2026年11月分まで2万3,000円27万6,000円
2026年12月分から6万2,000円74万4,000円
+3万9,000円+46万8,000円

増えた46万8,000円がまるごと所得控除になるので、軽くなる税額は「46万8,000円 × (所得税率+住民税率10%)」です。以下はこの式で計算した概算です(復興特別所得税は含めていません)。

課税所得所得税率増える控除で軽くなる年間の税額(概算)
195万円以下5%約7万200円
195万円超〜330万円以下10%約9万3,600円
330万円超〜695万円以下20%約14万400円
695万円超〜900万円以下23%約15万4,440円

この表は掛金を上限まで増やした場合の数字です。上限が上がっただけでは税額は1円も変わりません。変わるのは、実際に掛金を増やしたときだけです。

また、iDeCoの資産は原則60歳まで引き出せません。上限が上がったからといって生活費に食い込む額を設定すると、必要になったときに取り出せません。増額する前に、手元の資金がどれだけ残るかを確かめてください。

2026年4月には、企業型DC側がすでに変わっています

今回の12月の改正ばかりが話題になりますが、2026年4月1日には別の改正がすでに施行済みです。厚生労働省のページには4項目が挙げられています。

施行済み(2026年4月1日)内容
マッチング拠出の制限撤廃企業型DCで、加入者が出す掛金は「事業主の掛金を超えてはならない」という制限があった。これが撤廃された
簡易型DCの統合中小企業向けの簡易企業型年金を、通常の企業型DCに統合
自動移換の説明時期事業主の説明義務を「資格を喪失したとき」から「喪失することが見込まれるとき」に前倒し
iDeCo+の届出簡素化届出先を国民年金基金連合会のみに一本化

とくにマッチング拠出は影響が大きい項目です。これまでは会社の掛金が月5,000円なら自分も5,000円までしか上乗せできませんでしたが、この制限がなくなったため、拠出限度額の枠まで自分で上乗せできるようになりました。勤め先が企業型DCを使っている人は、iDeCoの12月の改正を待つ前に、まずマッチング拠出の枠を確認してみてください。

なお12月の引き上げはiDeCoだけではありません。厚生労働省の見出しは「iDeCo・企業型DC・国民年金基金の拠出限度額の引き上げ」で、企業型DCと国民年金基金の枠も同時に上がります。

受け取るときの「5年ルール」は、すでに10年ルールになっています

iDeCoで積み立てたお金を一時金で受け取ると退職所得になり、退職所得控除が使えます。ただし、会社の退職金と時期が近いと控除が重複するため、間を何年あけたかで控除額が変わります。これが「5年ルール」「20年ルール」と呼ばれてきたものです。

ここは2026年1月1日から、もう変わっています(今年の話です)。国税庁のタックスアンサーNo.2732には、こう書かれています。

ロ 前年以前9年内に確定拠出年金法に基づく老齢給付金として支給される一時金(令和8年1月1日以後に支払を受けたものに限り…)の支払を受けた場合

つまり、順番で扱いが変わります。

受け取る順番判定に使う期間通称
iDeCoの一時金が先 → あとで会社の退職金前年以前9年内(2026年1月1日以後に受けた一時金が対象)「5年ルール」が10年ルール
会社の退職金が先 → あとでiDeCoの一時金前年以前19年内(変更なし)「20年ルール」のまま

両方が10年になったわけではありません。延びたのは「iDeCoを先に受け取る」側だけです。60歳でiDeCoを一時金で受け取り、その数年後に退職金を受け取る――という受け取り方を考えていた人は、あけるべき年数が5年から10年に延びたことになります。

これは掛金の上限の話とは別の改正で、施行日も違います(2026年1月1日)。同じ「iDeCo改正」という言葉でまとめて語られるので、混ざりやすいところです。

よく間違えられる5点

1. 「2027年からだ」と思って、12月分の手続きを逃す

新しい上限が使えるのは2026年12月分の掛金からです。「2027年1月」は引き落とし日です。e-iDeCoでの変更受付は2026年12月1日から12月24日までで、しかも12月分に間に合わないことがあると案内に書かれています。2026年9月頃からの事前受付を使うほうが確実です。

2. 公務員も6万2,000円になると思う

公務員の変更後の上限は5万4,000円(私学共済は5万5,000円)です。6万2,000円は「企業年金等と合算した枠」の額で、共済の年金払い退職給付の分が差し引かれます。

3. 上限が上がれば掛金も自動で増えると思う

増えません。届出が要ります。何もしなければ、いまの掛金額のまま続きます。

4. 第3号(扶養に入っている配偶者)も上がると思う

上がりません。国民年金基金連合会の案内に「第3号被保険者は拠出限度額の引き上げはないので対象となりません」と明記されています。

5. 「受け取りは75歳まで」が今回の改正だと思う

受給開始時期の上限が70歳から75歳になったのは2022年の改正で、すでに施行済みです(iDeCo公式サイト「受給開始時期の上限が70歳 ⇒ 75歳に延長」)。2026年12月の改正で変わるのは入口(加入年齢と掛金の枠)であって、出口ではありません。

まとめ

  • 上限が上がるのは2026年12月分の掛金から。引き落としは2027年1月なので、案内によって書き方が違うだけで同じ改正です。
  • 会社員は企業年金の有無による差がなくなり、企業年金等と合算で月6万2,000円に一本化されます。
  • 公務員は5万4,000円(私学共済は5万5,000円)。6万2,000円にはなりません。
  • 第3号(専業主婦・主夫)は据え置きで、2万3,000円のままです。
  • 60歳以上70歳未満の第5号が新設され、最初の3年は経過措置で条件が緩くなっています。
  • 受け取り側の「5年ルール」は、2026年1月1日から10年(前年以前9年内)になっています。逆順(退職金が先)は19年内のままです。
  • 自分の上限は 6万2,000円 −(企業型DCの事業主掛金)−(DB等の他制度掛金相当額)企業型DC加入者サイト規約、それと人事・総務で確かめられます。
  • 掛金は自動では増えません。増やすなら手続きが要り、2027年11月30日までの増額は年1回の変更回数にカウントされません。

出典

※ 施行日は厚生労働省のページで「2026年12月1日施行予定」と記載されています。掛金の枠は勤め先の企業年金の掛金額によって変わるため、自分の上限額は加入している運営管理機関にご確認ください。