お金の制度図解

扶養の壁は12月から136万円123万円→136万円、ただし11月中に年末調整が終わると適用されません

2026-09-15 ・ 読了目安 7分

扶養の壁は12月から136万円|123万円→136万円、ただし11月中に年末調整が終わると適用されません

「扶養の103万円の壁」が「123万円」になったばかりですが、2026年12月にもう一度動いて136万円になります。 国税庁のページだけで確かめたところ、いちばん誤解されそうなのは金額ではなく、適用の日でした。

先に、3つ書きます。

  • 扶養に入れる線は、給与だけなら123万円 → 136万円です。 正確には「合計所得金額 58万円以下 → 62万円以下」で、給与所得控除の最低保障が65万円から74万円に上がったぶん、給与で見た線が13万円動きます。
  • 適用は「令和8年12月1日以後に支払う給与」からです。 そして最後の給与を11月30日以前に払って年末調整を済ませた場合、改正後の控除は適用されません。 受けるには確定申告が要ります。12月に給与日がある人と、11月で終わる人で、手続きが変わります。
  • 19歳以上23歳未満は別枠です。 136万円を超えても、197万円までは段階的に控除が残ります(特定親族特別控除)。「扶養を外れる=控除がゼロ」ではありません。

そして、これは税の話です。 社会保険の「106万円の壁」「130万円の壁」は別の制度で、別の日程で動きます(106万円の壁の記事に書きました)。税で扶養に入れていても、社会保険では扶養から外れることがあります。

区分ごとの、改正前と改正後

国税庁「源泉所得税の改正のあらまし 令和8年4月」の表です。

区分改正後の所得要件給与だけの場合改正前給与だけの場合
扶養親族/同一生計配偶者/ひとり親の生計を一にする子62万円以下136万円以下58万円以下123万円以下
特定親族(19歳以上23歳未満)62万円超123万円以下136万円超197万円以下58万円超123万円以下123万円超188万円以下
配偶者特別控除の対象となる配偶者62万円超133万円以下136万円超207万円以下58万円超133万円以下123万円超201万5,999円以下
勤労学生89万円以下163万円以下85万円以下150万円以下

「合計所得金額」と「給与の収入金額」は別のものです。 表の左半分が制度の条件で、右半分は「給与だけで稼いでいる人の場合、収入でいくらか」を国税庁が併記したものです。給与以外の収入がある人は、右の列では判定できません。

なぜ13万円動くのか ―― 給与所得控除の最低保障

国税庁の文言はこうです。

「給与所得控除について、65万円の最低保障額が74万円に引き上げられました。」

給与等の収入金額改正後(令和8・9年分)改正前
190万円以下74万円65万円
190万円超220万円以下74万円65万円

所得の条件は58万円→62万円で4万円しか上がっていませんが、控除が9万円増えるので、給与で見た線は13万円動きます。 62 + 74 = 136 です。123万円のときは 58 + 65 = 123 でした。

いちばん見落とされる点 ―― 11月で終わると、適用されません

国税庁「令和8年度税制改正による所得税の基礎控除の引上げ等について」の文言です。

「これらの改正は、原則として、令和8年12月1日に施行され、令和8年分以後の所得税について適用されます。」

そして扶養の所得要件については、「令和8年12月1日以後に支払う給与から適用」と書かれています。Q&A にはこうあります。

「令和8年11月までの給与の源泉徴収事務に変更は生じません。」

問題はここからです。 同じ資料に、令和8年分の最後の給与を11月30日以前に支払って年末調整を行った場合は、改正後の控除等は適用されず、その適用を受けるには確定申告等が必要という記載があります。

あなたの勤め先12月の年末調整改正後の控除
12月に給与日がある(多数派)改正後の額で計算し、11月までに引かれすぎた分を精算年末調整で受けられます
最後の給与が11月30日以前改正前の額で終わる確定申告をしないと受けられません

退職した年・短期の勤務・年内に給与が11月で終わる形の人が、ここに当たります。 「12月に何もしていないのに税金が戻っていない」という形で後から気づくことになります。

基礎控除も同時に上がります

同じ日に基礎控除も動きます。国税庁「所得税のしくみ」の文言です。

「全ての方に適用される控除で、居住者の場合、納税者本人の合計所得金額に応じてそれぞれ次のとおりとなります。」

「注:令和8年12月1日から施行され、令和8年分から適用される金額です。」

納税者本人の合計所得金額基礎控除額
489万円以下104万円
489万円超655万円以下67万円
655万円超2,350万円以下62万円
2,350万円超2,400万円以下48万円
2,400万円超2,450万円以下32万円
2,450万円超2,500万円以下16万円
2,500万円超0円

104万円は令和8・9年分だけの額です。 改正のあらましの表では、令和10年分以後は、132万円以下の層が99万円、それ以外は62万円になります。「104万円になった」と覚えると、2年後に外します。

19〜22歳の子がいる家庭 ―― 外れても、いきなりゼロにはなりません

国税庁「家族と税」の文言です。

「『特定扶養親族』とは、控除対象扶養親族のうち、その年の12月31日現在の年齢が19歳以上23歳未満の方をいいます。」

この年齢の親族については、136万円を超えても控除が段階的に残ります。国税庁 No.1177 は「これを特定親族特別控除といいます。」と書いています。

特定親族の合計所得金額控除額
62万円超85万円以下63万円
85万円超90万円以下61万円
90万円超95万円以下51万円
95万円超100万円以下41万円
100万円超105万円以下31万円
105万円超110万円以下21万円
110万円超115万円以下11万円
115万円超120万円以下6万円
120万円超123万円以下3万円

「合計所得」なので、給与だけの学生なら 62万円=給与136万円、123万円=給与197万円にあたります。アルバイトを1万円増やした瞬間に親の控除が63万円消える、という段差はありません。 消えるのは123万円(給与197万円)を超えたときです。

結論

  • 給与だけで働いている扶養家族は、136万円までが線です(2026年12月1日から)。
  • 12月に給与日がない働き方の人は、確定申告をしないと改正後の控除を受けられません。
  • 19〜22歳は197万円まで段階的に控除が残ります。
  • これは税の話で、社会保険の壁は別です。 手取りに効くのは、税より社会保険料のほうが大きいことがあります。

出典

この記事は、国税庁のページの記載だけを根拠にしています。

調べた記録について。 上の逐語は 2026-09-14 に国税庁の各ページを開いて写したものです。「見つからなかった」ものはありませんでした。 記事の中で「国税庁が併記している」と書いた給与換算の列は、国税庁自身が表に併記しているものだけで、こちらで計算した数値ではありません。

個別の判定は税務署か勤め先にご確認ください。 この記事は公表されている資料の読み方をまとめたもので、個別の税額を判定するものではありません。