お金の制度図解

住宅ローン控除、1年目だけ確定申告2年目からは年末調整。国税庁の原文で確かめました

2026-09-14 ・ 読了目安 10分

住宅ローン控除は、最初の年だけ自分で確定申告をして、2年目からは勤務先の年末調整で受けられます。 国税庁のページにそう書かれています。ただし「2年目から年末調整」には例外があり、そちらは制度の話ではなくあなたの給与の事情で決まります。

先に3つ。

  • 1年目は確定申告が必要です。 国税庁 No.1211-1 の原文は「控除を受ける最初の年分は、必要事項を記載した確定申告書に…書類を添付して…所轄税務署長に提出する必要があります。」
  • 2年目からは年末調整で受けられます。 同じページに「2年目以後の年分は、年末調整でこの特別控除の適用を受けることができます。」
  • ただし、年収2,000万円超の人は年末調整そのものが行われません。 住宅ローン控除の規定ではなく、No.1900「給与所得者で確定申告が必要な人」のほうの条件です。制度が2年目以降も申告を求めているのではなく、年末調整の対象から外れているだけです。

1年目と2年目で、何が変わるか

1年目2年目以降
手続き確定申告(自分で税務署へ)年末調整(勤務先へ書類を出す)
出す相手所轄税務署長勤務先
時期翌年の確定申告期間その年の年末調整
根拠国税庁 No.1211-1国税庁 No.1211-1/「マイホームを持ったとき」

「マイホームを持ったとき」のページには、給与所得者を名指しで「給与所得者の方は、2年目以後の年分については、年末調整で住宅ローン控除の適用を受けることができます。」と書かれています。

2年目に必要な書類は、2か所から来ます

ここが毎年つまずく箇所です。書類は1枚ではなく、出どころの違う2つを揃えます。

書類(正式名称)誰が出すか
給与所得者の住宅借入金等特別控除申告書税務署から本人へ交付
年末調整のための住宅借入金等特別控除証明書税務署から本人へ交付
住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書借入先の金融機関が発行

「令和8年分 年末調整のしかた」の原文は、前の2つについて「住宅借入金等特別控除申告書…は、次のとおり税務署から所得者本人に交付しています。」、3つ目について「借入等を行った金融機関等が発行した『住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書』」と書いています。

そして No.1211-1 には、勤務先へ出すことが明記されています——「『住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書』を勤務先に提出する必要があります。」

借入先が複数あるなら、全部です。 原文は「2か所以上から交付を受けている場合は、そのすべての証明書」。1枚でも足りなければ、その年の年末調整では受けられません。

2年目以降に、確定申告が必要になる場合

国税庁のページを当たった結果、「住宅ローン控除だから2年目も申告」と書かれた記述は見つかりませんでした。 見つかったのは、年末調整の側から外れる条件です。

状況国税庁の記述出典
年収2,000万円超「給与の年間収入金額が2,000万円を超える人」は確定申告が必要No.1900
2か所以上から給与年末調整されなかった給与などの合計が20万円超なら確定申告No.1900
年の途中で転職年末まで勤務していれば年末調整の対象になるNo.2674
転職先が前職の給与を確認できない「年末調整を行うことはできず、その人が確定申告により…精算を行うことになります。」No.2674

転職は、それだけでは申告になりません。 No.2674 は「年の中途で就職し、年末まで勤務している人についても年末調整の対象になります。」と書いています。分かれ目は、前の勤務先の源泉徴収票を新しい勤務先に出せたかどうかです。

次の2つは、国税庁のページに記述が見つかりませんでした。

  • 給与所得者でない期間があること自体を理由に、2年目以降も確定申告が必要とする記述
  • 借入先が複数あること自体を理由に、2年目以降も確定申告が必要とする記述

「見つからなかった」は「無い」とは違います。 ただし、上の2つを理由に申告が要ると書いてある国税庁のページは、今回の調査では確認できませんでした。

2026年(令和8年)に変わったこと

適用期限が5年延びました。 令和8年度税制改正の大綱に「適用期限(令和7年12月31日)を令和12年12月31日まで5年延長」とあります。

令和8年以降に新築などをした場合の借入限度額は次のとおりです。

住宅の区分借入限度額
認定住宅4,500万円
ZEH水準省エネ住宅3,500万円
省エネ基準適合住宅2,000万円

床面積の下限にも例外が続きます——「床面積が40㎡以上50㎡未満である居住用家屋についても、本特例の適用ができることとする。」

ただし、同じ箇所に所得の上限があります。

合計所得金額が1,000万円を超える年については、適用しない。

「超える年については」と書かれているので、年ごとの判定です。 上限を一度超えたら二度と使えない、とは書かれていません。

省エネ基準の定義は No.1211-1 にあり、「断熱等性能等級4以上および一次エネルギー消費量等級4以上」。そして「令和8年1月1日以後に居住の用に供した場合、いわゆる気候風土適応住宅が対象となります。」という追加もあります。

なお、「令和8年分 年末調整のしかた」の「昨年と比べて変わった点」の2ページには、住宅ローン控除に関する記述は見つかりませんでした。 変わったのは制度の中身であって、年末調整の手続きそのものではないということです。

いくら戻るのか ―― 年末残高の0.7%です

手続きの話の前に、金額の話をします。控除額は借入額ではなく、その年の年末残高から計算します。

年末残高等 × 0.7%

率は住宅の区分によらず0.7%で、変わるのは「上限」と「何年間か」のほうです。 国税庁 No.1211-1 の表から、新築等をした場合を写します。

住宅の区分居住の用に供した年控除期間各年の控除額(控除限度額)
認定長期優良住宅・認定低炭素住宅令和6年〜令和12年13年年末残高等×0.7%(31.5万円
ZEH水準省エネ住宅令和6年〜令和12年13年年末残高等×0.7%(24.5万円
省エネ基準適合住宅令和6年・令和7年13年年末残高等×0.7%(21万円)
省エネ基準適合住宅令和8年・令和9年13年年末残高等×0.7%(14万円
省エネ基準適合住宅令和10年〜令和12年0年年末残高等×0.7%(0万円
その他の住宅令和6年〜令和12年0年年末残高等×0.7%(0万円

ここに、見落とすと大きい段差が2つあります。

  • 「その他の住宅」は、令和6年以降に住み始めた場合、控除期間が0年です。 省エネ基準を満たさない住宅は、金額が小さくなるのではなく制度の外です。
  • 省エネ基準適合住宅の上限は、令和8年に21万円から14万円へ下がります。 そして令和10年からは0年です。同じ「省エネ基準適合住宅」でも、住み始めた年で3段階に分かれます。

年末残高3,000万円・省エネ基準適合住宅・令和8年入居なら、3,000万円×0.7%=21万円ですが、上限14万円で頭打ちです。残高が2,000万円を超えたところから、上限のほうが先に効きます。

なお、この記事では「年末調整を忘れた場合にどうなるか」は扱っていません。 国税庁の該当ページを探しましたが、その場合の手続きを書いた記載を見つけられなかったためです。税務署に聞くのが確実です。

調べるときに開くページ

国税庁のページは番号で管理されています。検索するより、番号で行くほうが速いです。

番号表題
No.1210マイホームの取得等と所得税の税額控除
No.1211-1住宅の新築等をし、令和4年以降に居住の用に供した場合(住宅借入金等特別控除)
No.1225住宅借入金等特別控除の対象となる住宅ローン等
No.1230調書方式による住宅借入金等特別控除
No.1900給与所得者で確定申告が必要な人
No.2674中途就職者の年末調整

この記事で一番引いたのは No.1211-1 です。 1年目・2年目の扱い、必要書類、省エネ基準の定義が1ページに揃っています。

まとめ

  • 1年目は確定申告。2年目からは年末調整。 これは国税庁のページに明記されています。
  • 2年目の書類は2か所から来ます。 税務署から2つ、金融機関から1つ。借入先が複数なら証明書も全部。
  • 2年目以降に申告が要るのは、住宅ローン控除の都合ではなく、年末調整の対象から外れたとき。 年収2,000万円超、2か所以上の給与、前職の源泉徴収票を出せない転職。
  • 2026年に適用期限が令和12年まで5年延びました。 借入限度額は住宅の区分で4,500万円/3,500万円/2,000万円。合計所得1,000万円超の年は適用されません。

出典

国税庁のページと PDF、および財務省が公表した税制改正の大綱だけを根拠にしています。税理士事務所のコラム・不動産会社の解説・まとめサイトは使っていません。

  • 国税庁 No.1211-1「住宅の新築等をし、令和4年以降に居住の用に供した場合(住宅借入金等特別控除)」— 1年目の確定申告/2年目以降の年末調整/年末残高等証明書の提出/複数の借入/省エネ基準の定義/気候風土適応住宅/控除率0.7%と区分別の控除限度額・控除期間の表

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1211-1.htm

  • 国税庁「マイホームを持ったとき」 — 給与所得者は2年目以後は年末調整で適用を受けられる

https://www.nta.go.jp/publication/pamph/koho/kurashi/html/05_1.htm

  • 国税庁「令和8年分 年末調整のしかた」(令和8年8月)— 書類の正式名称と交付元は「2-4 住宅借入金等特別控除申告書の受理と内容の確認」(29〜34ページ)、変更点は「Ⅰ 昨年と比べて変わった点」(3〜4ページ)

https://www.nta.go.jp/publication/pamph/gensen/nencho2026/01.htm

  • 国税庁 No.1900「給与所得者で確定申告が必要な人」— 年収2,000万円超/2か所以上からの給与

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1900.htm

  • 国税庁 No.2674「中途就職者の年末調整」— 年の中途の就職も年末調整の対象/前職の確認ができないときは確定申告

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2674.htm

  • 財務省「令和8年度税制改正の大綱」一 個人所得課税(令和7年12月26日 閣議決定)— 適用期限の5年延長/借入限度額/床面積の要件/合計所得1,000万円超の年は不適用

https://www.mof.go.jp/tax_policy/tax_reform/outline/fy2026/08taikou_01.htm

  • 国税庁 No.1210「マイホームの取得等と所得税の税額控除」 — 制度の入口

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1210.htm

  • 国税庁 No.1225「住宅借入金等特別控除の対象となる住宅ローン等」

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1225.htm

  • 国税庁 No.1230「調書方式による住宅借入金等特別控除」

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1230.htm

各 URL は実際に開いて確かめました(2026-09-14)。ページが開けること、そして引いた記述がそのページに載っていることの両方を見ています——アドレスが生きているだけでは出典になりません。「年末調整のしかた」は PDF を実際に落として本文を読み、「昨年と比べて変わった点」の全2ページに「住宅」の語が一度も出てこないことを数えて確かめています。