1年目と2年目で、何が変わるか
| 1年目 | 2年目以降 | |
|---|---|---|
| 手続き | 確定申告(自分で税務署へ) | 年末調整(勤務先へ書類を出す) |
| 出す相手 | 所轄税務署長 | 勤務先 |
| 時期 | 翌年の確定申告期間 | その年の年末調整 |
| 根拠 | 国税庁 No.1211-1 | 国税庁 No.1211-1/「マイホームを持ったとき」 |
「マイホームを持ったとき」のページには、給与所得者を名指しで「給与所得者の方は、2年目以後の年分については、年末調整で住宅ローン控除の適用を受けることができます。」と書かれています。
2年目に必要な書類は、2か所から来ます
ここが毎年つまずく箇所です。書類は1枚ではなく、出どころの違う2つを揃えます。
| 書類(正式名称) | 誰が出すか |
|---|---|
| 給与所得者の住宅借入金等特別控除申告書 | 税務署から本人へ交付 |
| 年末調整のための住宅借入金等特別控除証明書 | 税務署から本人へ交付 |
| 住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書 | 借入先の金融機関が発行 |
「令和8年分 年末調整のしかた」の原文は、前の2つについて「住宅借入金等特別控除申告書…は、次のとおり税務署から所得者本人に交付しています。」、3つ目について「借入等を行った金融機関等が発行した『住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書』」と書いています。
そして No.1211-1 には、勤務先へ出すことが明記されています——「『住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書』を勤務先に提出する必要があります。」
借入先が複数あるなら、全部です。 原文は「2か所以上から交付を受けている場合は、そのすべての証明書」。1枚でも足りなければ、その年の年末調整では受けられません。
2年目以降に、確定申告が必要になる場合
国税庁のページを当たった結果、「住宅ローン控除だから2年目も申告」と書かれた記述は見つかりませんでした。 見つかったのは、年末調整の側から外れる条件です。
| 状況 | 国税庁の記述 | 出典 |
|---|---|---|
| 年収2,000万円超 | 「給与の年間収入金額が2,000万円を超える人」は確定申告が必要 | No.1900 |
| 2か所以上から給与 | 年末調整されなかった給与などの合計が20万円超なら確定申告 | No.1900 |
| 年の途中で転職 | 年末まで勤務していれば年末調整の対象になる | No.2674 |
| 転職先が前職の給与を確認できない | 「年末調整を行うことはできず、その人が確定申告により…精算を行うことになります。」 | No.2674 |
転職は、それだけでは申告になりません。 No.2674 は「年の中途で就職し、年末まで勤務している人についても年末調整の対象になります。」と書いています。分かれ目は、前の勤務先の源泉徴収票を新しい勤務先に出せたかどうかです。
次の2つは、国税庁のページに記述が見つかりませんでした。
- 給与所得者でない期間があること自体を理由に、2年目以降も確定申告が必要とする記述
- 借入先が複数あること自体を理由に、2年目以降も確定申告が必要とする記述
「見つからなかった」は「無い」とは違います。 ただし、上の2つを理由に申告が要ると書いてある国税庁のページは、今回の調査では確認できませんでした。
2026年(令和8年)に変わったこと
適用期限が5年延びました。 令和8年度税制改正の大綱に「適用期限(令和7年12月31日)を令和12年12月31日まで5年延長」とあります。
令和8年以降に新築などをした場合の借入限度額は次のとおりです。
| 住宅の区分 | 借入限度額 |
|---|---|
| 認定住宅 | 4,500万円 |
| ZEH水準省エネ住宅 | 3,500万円 |
| 省エネ基準適合住宅 | 2,000万円 |
床面積の下限にも例外が続きます——「床面積が40㎡以上50㎡未満である居住用家屋についても、本特例の適用ができることとする。」
ただし、同じ箇所に所得の上限があります。
合計所得金額が1,000万円を超える年については、適用しない。
「超える年については」と書かれているので、年ごとの判定です。 上限を一度超えたら二度と使えない、とは書かれていません。
省エネ基準の定義は No.1211-1 にあり、「断熱等性能等級4以上および一次エネルギー消費量等級4以上」。そして「令和8年1月1日以後に居住の用に供した場合、いわゆる気候風土適応住宅が対象となります。」という追加もあります。
なお、「令和8年分 年末調整のしかた」の「昨年と比べて変わった点」の2ページには、住宅ローン控除に関する記述は見つかりませんでした。 変わったのは制度の中身であって、年末調整の手続きそのものではないということです。
いくら戻るのか ―― 年末残高の0.7%です
手続きの話の前に、金額の話をします。控除額は借入額ではなく、その年の年末残高から計算します。
年末残高等 × 0.7%
率は住宅の区分によらず0.7%で、変わるのは「上限」と「何年間か」のほうです。 国税庁 No.1211-1 の表から、新築等をした場合を写します。
| 住宅の区分 | 居住の用に供した年 | 控除期間 | 各年の控除額(控除限度額) |
|---|---|---|---|
| 認定長期優良住宅・認定低炭素住宅 | 令和6年〜令和12年 | 13年 | 年末残高等×0.7%(31.5万円) |
| ZEH水準省エネ住宅 | 令和6年〜令和12年 | 13年 | 年末残高等×0.7%(24.5万円) |
| 省エネ基準適合住宅 | 令和6年・令和7年 | 13年 | 年末残高等×0.7%(21万円) |
| 省エネ基準適合住宅 | 令和8年・令和9年 | 13年 | 年末残高等×0.7%(14万円) |
| 省エネ基準適合住宅 | 令和10年〜令和12年 | 0年 | 年末残高等×0.7%(0万円) |
| その他の住宅 | 令和6年〜令和12年 | 0年 | 年末残高等×0.7%(0万円) |
ここに、見落とすと大きい段差が2つあります。
- 「その他の住宅」は、令和6年以降に住み始めた場合、控除期間が0年です。 省エネ基準を満たさない住宅は、金額が小さくなるのではなく制度の外です。
- 省エネ基準適合住宅の上限は、令和8年に21万円から14万円へ下がります。 そして令和10年からは0年です。同じ「省エネ基準適合住宅」でも、住み始めた年で3段階に分かれます。
年末残高3,000万円・省エネ基準適合住宅・令和8年入居なら、3,000万円×0.7%=21万円ですが、上限14万円で頭打ちです。残高が2,000万円を超えたところから、上限のほうが先に効きます。
なお、この記事では「年末調整を忘れた場合にどうなるか」は扱っていません。 国税庁の該当ページを探しましたが、その場合の手続きを書いた記載を見つけられなかったためです。税務署に聞くのが確実です。
調べるときに開くページ
国税庁のページは番号で管理されています。検索するより、番号で行くほうが速いです。
| 番号 | 表題 |
|---|---|
| No.1210 | マイホームの取得等と所得税の税額控除 |
| No.1211-1 | 住宅の新築等をし、令和4年以降に居住の用に供した場合(住宅借入金等特別控除) |
| No.1225 | 住宅借入金等特別控除の対象となる住宅ローン等 |
| No.1230 | 調書方式による住宅借入金等特別控除 |
| No.1900 | 給与所得者で確定申告が必要な人 |
| No.2674 | 中途就職者の年末調整 |
この記事で一番引いたのは No.1211-1 です。 1年目・2年目の扱い、必要書類、省エネ基準の定義が1ページに揃っています。
まとめ
- 1年目は確定申告。2年目からは年末調整。 これは国税庁のページに明記されています。
- 2年目の書類は2か所から来ます。 税務署から2つ、金融機関から1つ。借入先が複数なら証明書も全部。
- 2年目以降に申告が要るのは、住宅ローン控除の都合ではなく、年末調整の対象から外れたとき。 年収2,000万円超、2か所以上の給与、前職の源泉徴収票を出せない転職。
- 2026年に適用期限が令和12年まで5年延びました。 借入限度額は住宅の区分で4,500万円/3,500万円/2,000万円。合計所得1,000万円超の年は適用されません。
出典
国税庁のページと PDF、および財務省が公表した税制改正の大綱だけを根拠にしています。税理士事務所のコラム・不動産会社の解説・まとめサイトは使っていません。
- 国税庁 No.1211-1「住宅の新築等をし、令和4年以降に居住の用に供した場合(住宅借入金等特別控除)」— 1年目の確定申告/2年目以降の年末調整/年末残高等証明書の提出/複数の借入/省エネ基準の定義/気候風土適応住宅/控除率0.7%と区分別の控除限度額・控除期間の表
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1211-1.htm
- 国税庁「マイホームを持ったとき」 — 給与所得者は2年目以後は年末調整で適用を受けられる
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/koho/kurashi/html/05_1.htm
- 国税庁「令和8年分 年末調整のしかた」(令和8年8月)— 書類の正式名称と交付元は「2-4 住宅借入金等特別控除申告書の受理と内容の確認」(29〜34ページ)、変更点は「Ⅰ 昨年と比べて変わった点」(3〜4ページ)
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/gensen/nencho2026/01.htm
- 国税庁 No.1900「給与所得者で確定申告が必要な人」— 年収2,000万円超/2か所以上からの給与
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1900.htm
- 国税庁 No.2674「中途就職者の年末調整」— 年の中途の就職も年末調整の対象/前職の確認ができないときは確定申告
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2674.htm
- 財務省「令和8年度税制改正の大綱」一 個人所得課税(令和7年12月26日 閣議決定)— 適用期限の5年延長/借入限度額/床面積の要件/合計所得1,000万円超の年は不適用
https://www.mof.go.jp/tax_policy/tax_reform/outline/fy2026/08taikou_01.htm
- 国税庁 No.1210「マイホームの取得等と所得税の税額控除」 — 制度の入口
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1210.htm
- 国税庁 No.1225「住宅借入金等特別控除の対象となる住宅ローン等」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1225.htm
- 国税庁 No.1230「調書方式による住宅借入金等特別控除」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1230.htm
各 URL は実際に開いて確かめました(2026-09-14)。ページが開けること、そして引いた記述がそのページに載っていることの両方を見ています——アドレスが生きているだけでは出典になりません。「年末調整のしかた」は PDF を実際に落として本文を読み、「昨年と比べて変わった点」の全2ページに「住宅」の語が一度も出てこないことを数えて確かめています。
