お金の制度図解

最低賃金2026、10月1日に上がるのは15県だけです全47都道府県の額と発効予定日、沖縄は12月2日

2026-09-14 ・ 読了目安 12分

2026年(令和8年)度の最低賃金が、全47都道府県で答申されました。全国加重平均は1,177円、前年から56円の引き上げです。

ただし「10月から上がる」と読むと、32の県で間違いになります。

  • 10月1日に発効するのは15県だけです(発効日は予定)。残り32県はそれより後で、いちばん遅い沖縄は12月2日2か月の差があります。
  • 上げ幅がいちばん大きいのは佐賀の+65円、小さいのは東京・神奈川・大阪の+54円都市部ほど上げ幅が小さく、最高と最低の差は縮みました(203円差→195円差)。
  • まだ「答申」の段階です。 厚生労働省は発効日を「予定」と書いており、異議申出などで変わる可能性があると注記しています。

全47都道府県(改定前・新額・差額・発効予定日)

都道府県改定前新額差額発効予定日
北海道1,0751,131+5610月1日
青森1,0291,090+6110月29日
岩手1,0311,090+5912月1日
宮城1,0381,098+6010月1日
秋田1,0311,090+5910月14日
山形1,0321,092+6010月30日
福島1,0331,094+6110月16日
茨城1,0741,136+6210月18日
栃木1,0681,125+5710月1日
群馬1,0631,120+5710月3日
埼玉1,1411,196+5510月1日
千葉1,1401,195+5510月1日
東京1,2261,280+5410月1日
神奈川1,2251,279+5410月1日
新潟1,0501,108+5810月1日
富山1,0621,119+5710月1日
石川1,0541,113+5910月3日
福井1,0531,112+5910月4日
山梨1,0521,113+6111月1日
長野1,0611,117+5610月2日
岐阜1,0651,121+5610月1日
静岡1,0971,154+5710月15日
愛知1,1401,195+5510月1日
三重1,0871,143+5610月1日
滋賀1,0801,136+5610月3日
京都1,1221,180+5811月16日
大阪1,1771,231+5410月1日
兵庫1,1161,172+5610月1日
奈良1,0511,107+5610月4日
和歌山1,0451,101+5610月3日
鳥取1,0301,090+6010月3日
島根1,0331,092+5910月10日
岡山1,0471,104+5710月2日
広島1,0851,141+5610月11日
山口1,0431,101+5810月8日
徳島1,0461,103+5711月1日
香川1,0361,092+5610月1日
愛媛1,0331,093+6011月1日
高知1,0231,086+6310月29日
福岡1,0571,114+5710月4日
佐賀1,0301,095+6511月15日
長崎1,0311,087+5611月2日
熊本1,0341,092+5812月1日
大分1,0351,096+6111月1日
宮崎1,0231,085+6210月24日
鹿児島1,0261,090+6410月25日
沖縄1,0231,086+6312月2日

単位は円/時間です。新額は答申された額で、確定した決定額ではありません。

10月1日ではない32県

都道府県新額発効予定日
長野1,11710月2日
岡山1,10410月2日
群馬1,12010月3日
石川1,11310月3日
滋賀1,13610月3日
和歌山1,10110月3日
鳥取1,09010月3日
福井1,11210月4日
奈良1,10710月4日
福岡1,11410月4日
山口1,10110月8日
島根1,09210月10日
広島1,14110月11日
秋田1,09010月14日
静岡1,15410月15日
福島1,09410月16日
茨城1,13610月18日
宮崎1,08510月24日
鹿児島1,09010月25日
青森1,09010月29日
高知1,08610月29日
山形1,09210月30日
山梨1,11311月1日
徳島1,10311月1日
愛媛1,09311月1日
大分1,09611月1日
長崎1,08711月2日
佐賀1,09511月15日
京都1,18011月16日
岩手1,09012月1日
熊本1,09212月1日
沖縄1,08612月2日

10月中に発効するのは37県、11月が7県、12月が3県(岩手・熊本が12月1日、沖縄が12月2日)です。厚生労働省も「令和8年10月1日から令和8年12月2日までの間に順次発効される予定」としています。

自分の県の日付を見ずに10月分の明細を確認すると、まだ上がっていない額を見て「上がっていない」と判断することになります。

そして発効日は「予定」です。 厚生労働省の資料の正式名称は「令和8年度 地域別最低賃金 答申状況」で、載っているのは答申された改定額と発効日(予定)異議申出などで変わる可能性があると厚生労働省自身が注記しています。この記事の数字も、47県すべてが確定済みという扱いではありません。

「答申」はまだ決定ではありません

ここは言葉が4つ出てきて、混同されやすいところです。厚生労働省が示す手順はこうです。

言葉意味
答申地方最低賃金審議会が出す意見。この日から新しい時給になるのではありません
答申要旨の公示異議を申し出るための公示。公示から15日以内に労働者・使用者が異議を申し出られる(最低賃金法11条)
決定の公示労働局長が決定した内容の公示
発効新額が法的に効力を持ち始める日

順に、答申 →(異議申出について審議)→ 決定 → 決定の公示 → 発効、と進みます。

最低賃金法14条は、「公示の日から起算して三十日を経過した日」から効力を生ずることを基本とし、決定でそれより後の日を指定した場合はその日から、としています。発効日が県ごとにばらつくのは、この手続きの進み方が県ごとに違うためです。

給与の締め期間の途中に発効日が来た場合も、大阪労働局は「発効日以降は改定後の最低賃金額以上」の賃金が必要と明記しています。 締め日まで古い額でよい、ということにはなりません。

誰に適用されるか

厚生労働省は、地域別最低賃金を「パートタイマー、アルバイト、臨時、嘱託など…すべての労働者に適用」としています。

働き方適用
正社員
パート・アルバイト
臨時・嘱託
学生アルバイト✅(大阪労働局「年齢やパート・学生アルバイトなど働き方の違いにかかわらず」)
試用期間中✅。減額には都道府県労働局長の許可が必要で、許可がなければ通常の額
派遣労働者✅ ただし派遣先の都道府県の額

派遣で働いている人は、ここを間違えやすいところです。

派遣元の事業場の所在地にかかわらず、派遣先の最低賃金が適用

東京の派遣会社に雇われていても、働きに行っている先が神奈川なら神奈川の額で判定します。東京1,280円と神奈川1,279円なら1円差ですが、東京の会社から埼玉(1,196円)へ派遣されているなら84円の差になります。

自分の時給を計算する

月給制の人は、そのままでは比べられません。厚生労働省の計算式はこうです。

月給 ÷ 1か月平均所定労働時間 ≧ 最低賃金額(時間額)

ただし、月給に全部を入れてはいけません。 最低賃金と比べる賃金から除くものを、厚生労働省が列挙しています。

算入する算入しない
基本給① 結婚手当など臨時に支払われる賃金
毎月支払われる職務手当など賞与など1か月を超える期間ごとの賃金
時間外労働に対する割増部分
休日労働に対する割増部分
深夜労働について通常賃金を超える割増部分
精皆勤手当・通勤手当・家族手当

「基本給1,000円+通勤手当100円だから1,100円」という比較はできません。 通勤手当を除いて判定します。

厚生労働省の計算例です。

項目
比較対象の月額賃金180,000円
年間所定労働日数250日
1日の所定労働時間8時間
(180,000 × 12) ÷ (250 × 8)= 1,080円/時

大阪労働局の例は、年間所定労働日数269日・1日7.5時間・月給206,800円で 1,230.03…円。大阪の新額1,231円を下回ります1円の差で下回ることがある、というのがこの例の要点です。

時給制の人は、支給額から上の除外項目を引いた額を、自分の県の新額と比べてください。

下回っていたら

最低賃金法4条は、使用者に最低賃金額以上を支払う義務を課しています。そして最低賃金未満で結んだ労働契約は、その部分が無効になり、最低賃金と同額を定めたものとして扱われます。

内容
罰則50万円以下の罰金(最低賃金法40条・地域別最低賃金の場合)
申告先都道府県労働局長/労働基準監督署長/労働基準監督官(同法34条)
窓口の名前都道府県労働局(労働基準部賃金課・室)、労働基準監督署
夜間・土日祝労働条件相談ほっとライン(厚生労働省委託。2026年4月時点の日本語窓口 0120-811-610)

契約書に書いてあっても無効です。 「同意して入社した」は理由になりません。

産業によっては、もっと高い額があります

特定(産業別)最低賃金という別の制度があり、2026年4月1日現在で223件あります。地域別より高い水準を設ける必要が認められた産業に設定されています。

両方が適用される場合は、高いほうが適用されます(最低賃金法6条「最低賃金額のうち最高のもの」)。

ただし特定最低賃金には対象外になる人がいます——18歳未満・65歳以上、雇入れ後一定期間未満で技能習得中の人、一定の軽易業務など。その場合でも地域別最低賃金は残ります。 ゼロになるわけではありません。

上げ幅は、都市部ほど小さい

上げ幅
いちばん大きい佐賀+65円
鹿児島+64円
高知・沖縄+63円
いちばん小さい東京・神奈川・大阪+54円

佐賀は42位から32位へ、10位上がりました。 順位が動いたのは47県中23県です。

そして最高と最低の差は195円です。改定前は東京1,226円と高知・宮崎・沖縄1,023円で203円差でしたが、改定後は東京1,280円と宮崎1,085円で195円差。8円縮みました。

厚生労働省は、今回の56円という引き上げ幅について、昭和53年度に目安制度が始まって以降「2番目の高さ」としています。なお7月28日の中央最低賃金審議会の目安どおりなら1,176円・+55円でしたが、目安を上回る答申をした県があったため、最終的に1,177円・+56円になりました。

出典

厚生労働省・都道府県労働局のページと法令本文だけを根拠にしています。人材会社のコラム・まとめサイトの数値は使っていません。

  • 厚生労働省「全ての都道府県で地域別最低賃金の改定額が答申されました」— 全国加重平均1,177円・+56円、順次発効の期間、引き上げ幅が制度開始以降2番目

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_75950.html

  • 厚生労働省「令和8年度 地域別最低賃金 答申状況」— 全47都道府県の答申額と発効予定日

https://www.mhlw.go.jp/content/11302000/001745621.pdf

  • 厚生労働省「地域別最低賃金の改正手続の流れ」— 答申→決定→公示→発効

https://www.mhlw.go.jp/content/11302000/001136127.pdf

  • 最低賃金法(4条・6条・11条・13条・14条・34条・40条)— 支払義務と無効、最高額の適用、公示と異議申出、派遣、発効日、申告、罰金

https://laws.e-gov.go.jp/law/334AC0000000137

  • 厚生労働省「最低賃金の適用される労働者の範囲」— パート・アルバイト・臨時・嘱託

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/chingin/newpage_43886.html

  • 厚生労働省「最低賃金の対象となる賃金」— 算入しない6項目

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/chingin/newpage_43898.html

  • 厚生労働省「最低賃金額以上かどうかを確認する方法」— 月給の時給換算と計算例

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/chingin/newpage_43899.html

  • 厚生労働省「特定最低賃金について」「最低賃金の種類」— 223件、対象外の扱い

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000041788.html

  • 厚生労働省「労働条件相談ほっとライン」— 夜間・土日祝の相談窓口(0120-811-610)

https://www.check-roudou.mhlw.go.jp/lp/hotline/

  • 大阪労働局「大阪府最低賃金は、令和8年10月1日から時間額1,231円に改正されます。」— 学生アルバイト、締め期間の途中の扱い、計算例

https://jsite.mhlw.go.jp/osaka-roudoukyoku/saichin2026kaisei.html

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