2つの行は、1つの⑷の中に並んでいます
⑷ 勤労学生について、専修学校の学生でその修業期間が1年以上であること等の要件を満たす専攻科の課程を履修するものが加えられるとともに、適用対象となる専修学校の専門課程に係る要件のうち、その1年の授業時間数が800時間以上であること等の要件が、その年平均の単位数が31単位以上であること等の要件に見直されました(令和8年分以後の所得税について適用)。
(国税庁「令和8年度税制改正に伴う源泉所得税関係の取扱いについて」パンフレット)
| 行 | 中身 | 適用の線 |
|---|---|---|
| 追加 | 専攻科——修業期間が1年以上であること等の要件を満たす専攻科の課程を履修する学生が、対象に加わる | 令和8年分以後の所得税 |
| 見直し | 専門課程の要件——「1年の授業時間数が800時間以上」→「年平均の単位数が31単位以上」 | 令和8年分以後の所得税 |
(同パンフレットより整理)
2つの行は対象の広がり(専攻科が加わる)と対象の決め方の変更(時間数から単位数へ)で、どちらも学校の側の要件です。勤労学生の所得の線には触れていません。
勤労学生控除の基本——27万円と3つの要件
納税者自身が勤労学生であるときは、一定の金額の所得控除を受けることができます。これを勤労学生控除といいます。
(国税庁タックスアンサー No.1175「勤労学生控除」・令和8年4月1日現在法令等)
控除額の表は1行だけです。
| 区分 | 控除額 |
|---|---|
| 勤労学生控除 | 27万円 |
(同タックスアンサーより)
勤労学生とは、その年の12月31日の現況で3つの要件のすべてに当てはまる人です。
(1)給与所得などの勤労による所得があること
(2)合計所得金額が85万円以下(注)(令和2年分から令和6年分までは、75万円以下)で、かつ、(1)の勤労に基づく所得以外の所得が10万円以下であること
(3)特定の学校の学生、生徒であること
(同タックスアンサーより)
(注)令和8年12月1日に施行され、令和8年分から適用される金額は「89万円以下」です。また、給与所得控除についても改正されます。
(同タックスアンサーの注より)
今回のパンフレットの2つの行が触れるのは、この(3)の「特定の学校」の側です。(2)の所得の線には、タックスアンサーの注が別の改正の行を置いています。
合計所得の線は、年分で3つに並んでいます
タックスアンサーの本文と注を並べると、(2)の金額の行は3つに分かれます。
| 年分 | 合計所得金額の線 |
|---|---|
| 令和2〜6年分 | 75万円以下 |
| 令和7年分 | 85万円以下 |
| 令和8年分から | 89万円以下(令和8年12月1日施行・令和8年分から適用) |
(同タックスアンサーより整理)
なお(2)には「かつ、(1)の勤労に基づく所得以外の所得が10万円以下であること」の行が並んでいます——合計所得の線とは別に、勤労によらない所得の線です。
学校の側の要件——「800時間」の行がどこに置かれているか
「特定の学校」は、イ(学校教育法に規定する小学校・中学校・高等学校・大学・高等専門学校など)・ロ(一定の者が設置した専修学校または各種学校のうち一定の課程を履修させるもの)・ハ(認定職業訓練を行う職業訓練法人で一定の課程を履修させるもの)のいずれかです。ロとハの「一定の課程」の中身が、今回見直される要件の置き場所です。
①専修学校の高等課程および専門課程
イ 職業に必要な技術の教授をすること。
ロ その修業期間が一年以上であること。
ハ その1年の授業時間数が800時間以上であること(夜間その他特別な時間において授業を行う場合には、その1年の授業時間数が450時間以上であり、かつ、その修業期間を通ずる授業時間数が800時間以上であること。)。
ニ その授業が年2回を超えない一定の時期に開始され、かつ、その終期が明確に定められていること。
(同タックスアンサーより)
②①に掲げる課程以外の課程
イ 職業に必要な技術の教授をすること。
ロ その修業期間(普通科、専攻科その他これらに類する区別された課程があり、それぞれの修業期間が1年以上であっていずれかの課程に他の課程が継続する場合には、これらの課程の修業期間を通算した期間)が2年以上であること。
ハ その1年の授業時間数(普通科、専攻科その他これらに類する区別された課程がある場合には、それぞれの課程の授業時間数)が680時間以上であること。
ニ その授業が年2回を超えない一定の時期に開始され、かつ、その終期が明確に定められていること。
(同タックスアンサーより)
現行の区分を並べると、こうなります(①は高等課程・専門課程、②はそれ以外の課程——普通科・専攻科などの区別された課程)。
| 課程 | 修業期間 | 1年の授業時間数 |
|---|---|---|
| ① | 1年以上 | 800時間以上(夜間等は450時間以上+通算800時間以上) |
| ② | 2年以上(継続する課程は通算) | 680時間以上 |
(同タックスアンサーより整理)
パンフレットが見直すと置くのは、この①の「専門課程」のハの行です——800時間以上であること等の要件が、年平均31単位以上であること等の要件に変わります。夜間の450時間+通算800時間という細分の行がどう置き替わるかは、この2つの資料からは読めません。
タックスアンサーの行は、まだ800時間のままです
No.1175 は「令和8年4月1日現在法令等」で、31単位の行はまだ載っていません——本文に並ぶのは800時間・680時間の行です。同じ勤労学生控除でも、パンフレット(令和8年分以後の改正後の行)とタックスアンサー(現在法令等の行)では、載っている時点が違います。年分の線も同じ構造です——合計所得の「89万円以下」は「令和8年12月1日に施行され、令和8年分から適用される金額」と注が示す行で、本文の「85万円以下」は令和7年分までの行です。
なお、No.1175 の注は「また、給与所得控除についても改正されます」と続けています。給与所得控除の中身はこのタックスアンサーの行にはなく、同じ令和8年12月1日施行の束の別の行です。
手続き——扶養控除等(異動)申告書と、証明書が必要な学校
この控除を受けるためには、給与所得者の場合は、「扶養控除等(異動)申告書」に勤労学生控除に関する事項を記載して勤務先に提出してください。確定申告を行う場合は、確定申告書に勤労学生控除に関する事項を記載して提出してください。
なお、前記の「勤労学生控除の対象となる人の範囲」(3)のロおよびハの専修学校、各種学校またはいわゆる職業訓練学校の生徒等の場合には、在学する専修学校の長等から必要な証明書の交付を受けて申告書に添付するか、または申告書を提出する際に提示してください。
ただし、給与所得者の場合で、年末調整の際に控除の適用を受けた人はその必要はありません。
(同タックスアンサーより)
給与所得者は勤務先への申告書の1行で、イの学校(大学・高校など)に通っている人は証明書の行が置かれていません——証明書が要るのはロ・ハの学校の側です。会社の年末調整で適用を受けた人は、確定申告での添付・提示は不要という行で閉じています。
間違えやすい3つの点
①「800時間→31単位」を、所得の要件の見直しと読まない。 見直されるのは(3)の学校の側の要件(専修学校の専門課程に係る要件)で、(2)の合計所得金額の線には触れていません。
②「専攻科が加わる」を「大学の専攻科すべてが対象」と読まない。 パンフレットの行は「専修学校の学生でその修業期間が1年以上であること等の要件を満たす専攻科の課程を履修するもの」です。要件を満たすかどうかは、通学している学校の窓口で確認するようタックスアンサーは案内しています。
③控除額27万円と合計所得89万円を同じ種類の数字と読まない。 27万円は控除される額、89万円は勤労学生であるための合計所得金額の要件の線(令和8年分から)です。
このページだけでは言えないこと(この記事では扱いません)
- 「年平均31単位以上であること等の要件」の「等」の中身——パンフレットは授業時間数の行の置き替え以外の行を置いていません
- 専攻科が課程の区分(タックスアンサーの①と②)のどこに置かれるか——タックスアンサーの②の言葉には「専攻科」が現れますが、改正後の区分の置き場所はこの2つの資料からは決められません
- 「年平均」の具体的な数え方(何年分を平均するかの行はありません)
- (2)の注が示す給与所得控除の改正の中身——令和8年分の年末調整の記事の側の行です
- 勤労学生が親の扶養に入る場合の扶養控除の側の線——扶養控除の4区分の記事の側の話です
関連する記事
- 令和8年分の年末調整、変わったのは4つです — 基礎控除104万円・給与所得控除74万円など、同じ令和8年12月1日施行の束の話。勤労学生の合計所得の線が89万円になる行も、この束の中にあります
- 扶養控除は4区分・特定扶養親族は63万円 — 学生の子の扶養の側の線。勤労学生控除は親の扶養と別の、本人自身の控除です
- 年末調整のあとで扶養が変わったら — 手続きの行で使う「扶養控除等(異動)申告書」そのものの話
出典
- 国税庁タックスアンサー No.1175「勤労学生控除」(令和8年4月1日現在法令等) https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1175.htm (2026-09-17 取得)
- 国税庁「令和8年度税制改正に伴う源泉所得税関係の取扱いについて」(パンフレット) https://www.nta.go.jp/publication/pamph/gensen/2026kaisei.pdf (2026-09-17 取得)




