なぜズレるのか ―― 判定の日と、手続きの日が違う
所得税法では、その年の12月31日の現況で控除対象扶養親族などの判定を行うことになっています。
一方で、年末調整は、その年最後の給与を支払うときに行いますので、扶養控除や配偶者控除、特定親族特別控除は、最後の給与を支払う日の現況で判断することになります。
12月20日に年末調整、12月28日に子が生まれる——この10日間に起きたことは、年末調整には入っていません。制度の欠陥ではなく、判定の日(12月31日)と手続きの日(最後の給与日)が別だからです。
増えたとき ―― 道は2つ
| 誰がやるか | いつまで | |
|---|---|---|
| 会社が年末調整をやり直す | 会社(本人は申告書を出す) | 源泉徴収票を作成・交付する日まで |
| 自分で確定申告する | 本人 | 確定申告の期間 |
原文はこうです。
控除対象扶養親族などが増えた場合に年末調整のやり直しを行うときには、その年分の源泉徴収票を作成・交付する日までに本人からその異動内容を記載した「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」の提出を受けてください。
なお、年末調整のやり直しをしない場合には、役員や使用人本人が、確定申告を行うことによって所得税および復興特別所得税(令和9年分以後は所得税、防衛特別所得税および復興特別所得税)の還付を受けることができます。
「やり直してもらえなかった=損」ではありません。 会社が間に合わなくても、確定申告で還付を受けられると明記されています。急ぐ必要があるのは、源泉徴収票が出る前に会社へ申告書を出す道を選ぶときだけです。
減ったとき ―― 手続きをするのは会社
また、子供の就職などにより、控除対象扶養親族などの数が減る場合にも、本人からその異動内容を記載した「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」の提出を受け、年末調整をやり直して不足している税額を徴収してください。
税額が足りない側のやり直しには、期限の書き方が違います。
おって、徴収不足税額がある場合の年末調整のやり直しについては、その異動があった年の翌年の1月末日以降であっても行う必要があります。
「1月末を過ぎたから終わり」ではない、と読めます。増えた側(還付)には「源泉徴収票を作る日まで」という区切りがあり、減った側(徴収)には期限の区切りが書かれていません。
年末調整に入る給与、入らない給与
ついでに、境目がはっきり書かれているものを2つ。
年末調整の対象となる給与は、その年の1月1日から12月31日まで(年の中途で死亡により退職した人等については、その退職等の時まで)の間に支払うことが確定した給与です。
したがって、実際に支払ったかどうかに関係なく未払の給与もその年の年末調整の対象となります。
逆に、前年に未払になっている給与を今年になって支払っても、その支払った年の年末調整の対象となる給与には含まれません。
基準は「支払われたか」ではなく「支払うことが確定したか」です。
そして、転職した人にも関わる一文。
前の会社などが支払った給与の金額や源泉徴収税額などは、源泉徴収票により確認しますので、速やかにその提出を求めてください。
この確認ができないときには、年末調整を行うことはできません。
何もしなくていい人
- 12月31日までに扶養の人数が変わらなかった人 ―― 年末調整の書類を出した時点で終わりです
- 扶養が減った人 ―― 手続きをするのは会社です(本人は異動内容を書いた申告書を出すだけ)
- 扶養が増えて、会社のやり直しに間に合わなかった人 ―― 会社を急かす必要はありません。確定申告で還付を受けられます
「間に合わなかったらどうしよう」という心配だけが、ここでは要りません。
見つからなかったこと
- 増えた側のやり直しの期限は「源泉徴収票を作成・交付する日まで」と書かれていますが、その日が具体的にいつなのか(法定の交付期限)は、このページには書かれていません
- 本人が会社にいつまでに申し出るべきかという、本人側の期限は書かれていません。書かれているのは会社が受け取る側の手続きです
出典
- 国税庁 タックスアンサー No.2671「年末調整の後に扶養親族等の人数が異動したとき」(令和8年4月1日現在法令等)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2671.htm
- 国税庁 タックスアンサー No.2668「年末調整の対象となる給与」(同)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2668.htm
引用はすべて原文のままです。 記号・単位・全角半角も変えていません。




