制度の定義(厚生労働省)
令和7(2025)年改正においては、被用者保険の適用拡大に伴う経過措置として、保険料調整制度を設けることとしている。この保険料調整制度とは、適用拡大の対象となる比較的小規模な企業で働く短時間労働者に対し、社会保険料による手取り収入の減少を緩和し、就業調整を抑制することで、被用者保険の持続可能性の向上につなげる観点から、3年間に限って、特例的・時限的に実施することとしたもので、事業主が労使折半よりも多く保険料を負担した場合に、労使折半を超えて負担した保険料相当額を制度全体で支援する制度である。対象となる短時間労働者を標準報酬月額が12.6万円以下である者に限定しているほか、標準報酬月額の等級ごとに保険料の負担割合も国が定めることとしている。
(厚生労働省「[年金制度の仕組みと考え方]第9 被用者保険の適用拡大」より)
制度の概要(日本年金機構)
保険料調整制度とは、新たに健康保険・厚生年金保険の加入対象となる短時間労働者が就業調整せずに働けるよう、2026(令和8)年10月以降に任意特定適用事業所となった事業所や、2027(令和9)年10月以降の適用拡大により特定適用事業所となった事業所等(対象となる事業所)の事業主が、被保険者の健康保険料・厚生年金保険料を一時的に一部追加負担することで、通算3年間、標準報酬月額が12.6万円以下の短時間労働者(対象となる被保険者)の健康保険料・厚生年金保険料の負担を軽減(※1)(※2)できる制度です。
事業主が追加負担した保険料は、一旦納付した後に還付(3カ月後の保険料額から追加負担分を差し引き)するため、最終的に事業主が納付する保険料は増えません(※3)。
制度を利用し、被保険者の保険料が軽減されても、被保険者が将来受け取る年金額は減りません。
(日本年金機構「保険料調整制度とは」より。文中の(※1)(※2)(※3)は元頁の脚注記号で、それぞれ軽減される期間・軽減割合の決まり方・還付されない場合があることの参照先を示しています)
保険料の負担割合(日本年金機構の表のまま)
| 標準報酬月額 | 報酬月額 | 制度利用1~2年目の負担割合(被保険者:事業主) | 制度利用3年目の負担割合(被保険者:事業主) |
|---|---|---|---|
| ~88,000円 | ~93,000円未満 | 25:75 | 37.5:62.5 |
| 98,000円 | 93,000円~101,000円未満 | 30:70 | 40:60 |
| 104,000円 | 101,000円~107,000円未満 | 36:64 | 43:57 |
| 110,000円 | 107,000円~114,000円未満 | 41:59 | 45.5:54.5 |
| 118,000円 | 114,000円~122,000円未満 | 45:55 | 47.5:52.5 |
| 126,000円 | 122,000円~130,000円未満 | 48:52 | 49:51 |
原則は被保険者と事業主が50:50で負担するところ、この表の割合になる間、被保険者の負担は50を下回ります。
申出の期限(日本年金機構)
制度利用開始月は、申出書が受付された日が属する月となります。期間をさかのぼって制度を利用することはできません。
(日本年金機構「保険料調整制度の対象となる事業所・申出期限」より)
保険料調整制度の利用が可能となった日から2年が経過した日が属する月の前月まで
(同「申出期限」の欄より)
制度利用を開始する事業主は、保険料調整開始申出書を事務センターまたは管轄の年金事務所へ提出します。
3つの資料が引いている線
| 線 | 資料の語 |
|---|---|
| 目的の線 | 「社会保険料による手取り収入の減少を緩和し、就業調整を抑制することで、被用者保険の持続可能性の向上につなげる」 |
| 対象の線 | 「標準報酬月額が12.6万円以下である者に限定している」 |
| 時期の線 | 「制度利用開始月は、申出書が受付された日が属する月となります。期間をさかのぼって制度を利用することはできません」 |
3つの資料は3つの線で制度を説明しています。1つ目は、保険料負担の増加による就業調整(いわゆる働き控え)を抑えるのが目的だという線です。2つ目は、対象を標準報酬月額12.6万円以下の短時間労働者に限っているという線です。3つ目は、申出は遡れず受付された月から適用されるという線です。2026年10月分から使いたい事業主は、10月中に申出書が受付される必要があります。
この記事で扱っていないこと
- 対象となる事業所の詳細な要件(任意特定適用事業所・特定適用事業所の区分)。資料には制度概要の中で名称だけが出ており、この記事では書きません。
- 保険料調整制度を利用した場合の保険料額の具体的な計算方法。日本年金機構の別ページの内容で、この記事では書きません。
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出典
- 厚生労働省「[年金制度の仕組みと考え方]第9 被用者保険の適用拡大」
https://www.mhlw.go.jp/stf/nenkin_shikumi_009.html
- 日本年金機構「保険料調整制度とは」
https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/hokenryo/hokenryochosei/gaiyo.html
- 日本年金機構「保険料調整制度の対象となる事業所・申出期限」
https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/hokenryo/hokenryochosei/kaishi.html
(2026-09-18 取得。引用は各頁の該当段落の全文。表は日本年金機構の頁の表をそのまま書き写しました)




