5つの具体例(国税庁の逐語)
(1)入院に際し寝巻きや洗面具などの身の回り品を購入することがありますが、これは医療費控除の対象になりません。
(2)医師や看護師に対するお礼は、診療などの対価ではありませんから医療費控除の対象になりません。
(3)本人や家族の都合だけで個室に入院したときなどの差額ベッドの料金は、医療費控除の対象になりません。
(4)付添人を頼んだときの付添料は、療養上の世話を受けるための費用として医療費控除の対象となります。所定の料金以外の心付けなどは除かれます。また、親族などに付添料の名目でお金を支払っても控除の対象になりません。
(5)入院中は病院で支給される食事を摂ることになります。これは、入院代に含まれますので医療費控除の対象になります。しかし、他から出前を取ったり外食したりしたものは、控除の対象にはなりません。
(国税庁タックスアンサー No.1126)
並べ替えると次のとおりです。
| 費用 | 対象 | 出典の理由 |
|---|---|---|
| 付添料 | なる | 療養上の世話を受けるための費用として対象。所定の料金以外の心付けは除く |
| 病院で支給される食事 | なる | 入院代に含まれるから対象 |
| 身の回り品(寝巻き・洗面具など) | ならない | — |
| 医師や看護師へのお礼 | ならない | 診療などの対価ではないから |
| 差額ベッド料(本人や家族の都合だけの個室) | ならない | — |
| 親族に支払う付添料 | ならない | 付添料の名目で支払っても対象にならない |
| 出前・外食 | ならない | — |
線を引く言葉は(2)にあります——「診療などの対価ではない」から対象外。逆に言えば、診療や療養上の世話の対価になっている費用(付添料・病院食)が対象側に来ます。
病院食は、高額療養費では対象外——逆に見えるのは、数え方の単位が違うから
病院の食事は、高額療養費の計算では自己負担額が対象外とされ、医療費控除では対象です。逆に見えますが、単位が違います。高額療養費の側では、入院時食事療養費の自己負担額は別の給付の枠として切り出されています(限度額は2026年8月から変わりましたの側で扱います)。医療費控除の側では、同じ食事が入院代の一部として数えられます。片方は給付として切り出し、片方は入院代にまとめている——「同じ費用が2つの制度で逆に扱われる」というより、2つの制度で数え方の単位が違うのが出典の並びです。
給付金との順番——先に高額療養費を差し引く
健康保険組合などから支払われる高額療養費や生命保険契約などの特約により支払われる入院費給付金などを受け取っている場合は、その金額を支払った医療費から差し引かなければなりません。
(同上・注意事項)
順番があります。先に高額療養費などの給付を差し引き、残った金額で医療費控除を考えます。 ここには細かい線が2つ付いています。
①差し引きは「その給付の目的となった入院」の医療費からだけ。
入院に係る費用を補てんする入院給付金の額は、その給付の目的となった入院に係る医療費の額から差し引くことになっており、引ききれない金額が生じた場合であっても、他の医療費の額から差し引く必要はありません。
(同上・注)
たとえば同じ年に医師の診療で数万円の医療費があったとしても、入院給付金の残りをそこから差し引く必要はありません。総額から一括で引くのではないのが出典の形です。
②確定していない給付は、見込額で差し引き、確定後に訂正する。
医療費を補てんする金額が確定申告書の提出までに確定していない場合は、その補てんされる金額の見込額を支払った医療費から差し引きます。
後日、補てんされる金額の確定額と当初の見込額とが異なる場合には、修正申告または更正の請求の手続により訂正してください。
(同上・注意事項)
何もしなくていい人
①給付金を受け取っていない人。 高額療養費も入院費給付金もなければ、差し引きの作業そのものがありません(限度額の話と2027年8月からの13区分の話は、高額療養費が返ってくるかどうかの側の話です)。
②親族に付添料を払っている人。 出典が名指しで対象外にしているので、集計に入れる必要がありません。
③医療費が10万円以下で控除を受けない人。 給付金との差し引きは、控除を申告する人の計算の話です(医療費控除は「10万円から」ではありませんで入口の線を整理しています)。
間違えやすい3つの点
①「病院食はどちらの制度でも対象外」でも「どちらでも対象」でもない。 高額療養費では別給付の枠、医療費控除では入院代の一部——制度ごとに数え方が違う、が出典の並びです。
②給付金の差し引きを総額から行わない。 引ききれなかった分を他の医療費から差し引く必要はありません。
③付添料は、払う相手で線が変わります。 付添業の所定の料金は対象、親族への名目だけの付添料は対象外、心付けは対象外です。
この記事で扱っていないこと
- 出典の「関連する質疑応答事例」の個々の事例(氷枕や氷のう・テレビや冷蔵庫の賃借料・タクシー代など19の題が挙げられていますが、この記事では本文の5つの具体例だけを扱います)
- 医療費控除の金額の計算そのもの(10万円の線や所得200万円未満の5%の話は入口の記事の側にあります)
- セルフメディケーション税制(出典は「医療費集計フォームをご利用いただけません」と触れるのみ)
- 高額療養費の限度額の計算(別の記事で扱います)
関連する記事
- 高額療養費の限度額は2026年8月から変わりました — 先に差し引く給付の側。月の上限と年間上限の新設の話
- 高額療養費の所得区分は2027年8月から13に細分化されます — 同じ給付の区分が増える話
- 医療費控除は「10万円から」ではありません — この控除の入口。家族は合算、所得200万円未満は5%の話
出典
- 国税庁タックスアンサー No.1126「医療費控除の対象となる入院費用の具体例」[令和8年4月1日現在法令等] https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1126.htm (2026-09-17 取得)




