花火の色と形は、どうやって作る?花火玉の中を断面で見る |しくみの中身 #06
答え
- 星の並びが約1000倍の形となり、金属と層が色を決めます。
- 導火線の火は、計算の例で打ち上げから7秒半ほどで中央に届きます。
- 600m離れた川岸では、開いた光の約2秒後に音が届きます。
ほかの言い方花火の仕組み花火の色が変わる理由花火玉の中身
動画
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解説
動画の流れ
図は典型的な日本の割物の作りを示した模式図、数字は資料をもとにした計算です(詳しくは下の「この記事の図と数字について」)。
30秒で分かる全体の流れ
- 玉の内側に、光と色を出す「星」という粒を並べます。
- 筒から上がった玉は、計算の例では7秒半ほどで頂上へ着き、導火線の火が中央に届いて開きます。
- 星が外へ飛び、玉の中の並びが、およそ1000倍の丸い花になります。
- 星に含まれる金属が色を、星の層が色の変わる順番を決めます。

この記事の図と数字について
玉と星の断面は、菊や牡丹などの割物を説明するための模型です。実際の玉の大きさや作りは店や種類で変わります。星の層は「燃えた時に出す光の色」で塗り分けてあり、材料そのものの色ではありません。
上がる時間と速さ、星の位置、ハートの向き、光の帯は、公開された資料の数字を条件にした計算です。本物の花火の設計ではありません。特に、星を1層に並べること、星の大きさや燃え進む速さ、内側の芯の大きさは模型の仮定です。「468個」という数は研究者が測定した玉の一例で、1層だったという報告ではありません。
花火玉の中身
玉皮・星・割薬・導火線
典型的には、丸い紙の殻である玉皮(たまがわ)の内側に、星を隙間なく並べます。星は空で光を出す粒です。中央の割薬(わりやく)は玉を割り、星に火をつけ、外へ飛ばす役目です。割薬はもみがらの形をした粒で、星との間には仕切紙があります。図で白く見える薄い輪が、その紙です。
ある尺玉の星は468個
日本の丸い玉と、海外の円筒形の玉
日本煙火協会は、日本の伝統的な玉を球形、欧米の玉を基本的には円筒形と説明しています。球面に星を並べた割物は、どの向きからも丸く見えます。円筒形の玉は星を四方へ均一に飛ばす構造とは違い、同じような真円を作るとは限りません。ここで扱うのは、日本の丸い割物です。世界中の花火がすべてこの構造という意味ではありません。
尺玉と号数
尺玉(しゃくだま)は10号玉です。号数が表しているのは、玉そのものの直径ではなく、打ち上げる筒の内側の太さです。10号なら1尺、約30cmの筒を使います。協会の目安では玉の外径は約28.5cmです。「約30cmの玉」と「約30cmの筒」を取り違えないようにしましょう。
打ち上げから開くまでの道順
揚薬と導火線

7秒半ほどで頂上へ
計算では、10号玉の実測例の質量と大きさを使い、頂上を約300mとしました。玉が筒を出る速さは時速約320km、頂上まで約7.46秒です。重力と空気の抵抗で、頂上に近づくほど遅くなります。
空気抵抗を決める係数は10号玉の資料にありません。1989年の論文では、大きい玉ほど係数が小さくなる傾向がありました。そのため5号玉の平均を上限の目安にし、分布を参考に下限を置いた幅で計算すると、筒を出る速さは時速約300〜350km、頂上までは約7.3〜7.6秒になりました。これはこの回の見積もりであり、実際の尺玉すべてに決まった速さがある、という意味ではありません。
「ヒュー」は笛の音
形はどう決まる
割薬と紙の釣り合いで真ん丸に
空気のブレーキと、1秒で3分の2
地上で玉を破裂させた研究では、星の速さは秒速約160〜190mでした。測定値の平均は約176m/sです。この回では秒速175mからの動きを計算しました。空気の抵抗は速さの2乗にほぼ比例するため、速いほど強く減速します。

並びがそのまま約1000倍
10号玉の目安では、開いた直径280mを玉の外径0.285mで割ると、約982倍です。これを「およそ1000倍」と呼んでいます。大きい玉でも倍率がいつも同じとは限りません。
| 号数 | 玉の外径の目安 | 開いた直径の目安 | 大きさの倍率 |
|---|---|---|---|
| 3号 | 8.6cm | 100m | 約1160倍 |
| 5号 | 14.4cm | 150m | 約1040倍 |
| 8号 | 23.0cm | 250m | 約1090倍 |
| 10号 | 28.5cm | 280m | 約980倍 |
| 20号 | 58.0cm | 450m | 約780倍 |
| 30号 | 86.0cm | 600m | 約700倍 |
| 40号 | 114.0cm | 750m | 約660倍 |
出典は日本煙火協会『花火入門』2026年版の表です。倍率は直径どうしの割り算で、体積の倍率ではありません。
菊・牡丹・芯入り
ハートの型物と向き

長く燃える星は垂れる

光の粒、尾、煙、水面の反射は見やすく描いたCGです。星の位置は引き継いだ計算が土台で、冠は計算C7の長く燃える例です。実物と同じ大きさや燃える時間を保証する図ではありません。
色はどう決まる
熱で光る色と、金属が出す色
| 金属 | 主な光の色 |
|---|---|
| ストロンチウム | 赤 |
| バリウム | 緑 |
| 銅 | 青 |
| ナトリウム | 黄 |

江戸の炭火色から明治の色へ
プリズムで正体を見破る
見た目が似た、だいだいがかった黄色でも、光の中身が同じとは限りません。この回ではナトリウムの光と、似た色合いになるように計算した熱の光を比べました。

赤と青を半分ずつ混ぜた紫
青が難しい理由
色が変わるしくみ
星は変わり玉のような層
外側から燃える=色の時刻表

そろった星は一斉に消える
同じ条件で外側から燃えれば、大きい星ほど長く光ります。この回では燃え尽きまで約3秒という模型を使いました。星の大きさを1割ばらつかせると、消える時刻は約0.9秒の幅に広がります。これは計算での比較で、すべての実物がこの秒数になるわけではありません。粒をそろえる技術が、消える瞬間の気持ちよさにつながります。

花火通が見る4つの点

| 見る点 | 呼び名 | 玉の中の主な働き |
|---|---|---|
| 止まった所で開くか | 玉の座り(たまのすわり) | 導火線と上がる勢い |
| 大きく真ん丸か | 盆(ぼん) | 割薬と紙の釣り合い |
| 筋はまっすぐか | 肩(かた) | 星の並び・火のつき方 |
| 一斉に消えるか | 消え口(きえくち) | 星の大きさと層 |
伊勢市の冊子は、上がる途中で開くと扇形、落ちながら開くと星が流れる傾向を説明しています。ただし、この回の単純な計算では、早く開いても形はほぼ丸いままで、主に高さが下がりました。模型で出なかった形を、計算した映像の結論としては言っていません。
玉名を読む
日本の花火には、空でどんな現象を見せるかを表す玉名(ぎょくめい)があります。八重芯変化菊(やえしんへんかぎく)なら、二重の芯を持ち、炭火色の尾を引く星が菊を描き、色が変わります。名前を知ってから見ると、空の数秒が詳しい説明に見えてきます。
よくある問い
花火の色は4色だけですか?
光ってから音が遅れるのはなぜですか?
| 水平の距離 | 光ってから音まで | 約3秒で燃え尽きる星との関係 |
|---|---|---|
| 300m | 約1.25秒 | まだ光っている |
| 600m | 約1.97秒 | まだ光っている |
| 1km | 約3.07秒 | 消えるころ |
| 1.5km | 約4.50秒 | 消えてから約1.5秒後 |
秒数に約340mを掛けると、音の出た所までのおよその距離になります。これは水平の距離ではなく、上空の花までの距離です。
花火はどのくらいの高さで開きますか?
ハートの形が分からないことがあるのはなぜですか?
花火は自分で作れますか?
資料への道案内
まず全体を知るなら、日本煙火協会の『花火入門』と「打揚花火のしくみ」へ。上がる道順や玉名はHonda Kids、色と電子の話はキヤノンサイエンスラボが読みやすい入口です。
鑑賞の4つの点は伊勢市の冊子へ。光の見分け方は山形県の分光の資料、数字を詳しく追うなら、星の速さを測った1993年、玉の弾道を調べた1989年、空気抵抗を扱った1957年、星の燃える時間を比べた2007年の論文が根拠になります。
出典
動画とこのページで使った事実・数字の出どころです。
- 日本煙火協会『花火入門』(令和8年6月)(()hanabi-jpa.jp/booklet2026/book.pdf
- 案内のページ()。ページは冊子の下の数字)hanabi-jpa.jp/data/booklet.html
- 日本煙火協会「打揚花火のしくみ」hanabi-jpa.jp/uchiage/fun.html
- Honda Kids「花火師はプログラマー?知ればもっと楽しくなる『花火』の歴史と科学」((花火の研究者 丁大玉先生に聞いた記事))honda.co.jp/kids/explore/fireworks
- PDF((p.250・251))jes.or.jp/mag/stem/Vol.54/documents/Vol.54,No.5,p…
- PDF((p.478・481・482))jes.or.jp/mag/stem/Vol.50/documents/Vol.50,No.6,p…
- PDF((英文のまとめ p.134))jes.or.jp/mag/stem/Vol.18/documents/Vol.18,No.2,p…
- PDFjes.or.jp/mag/stem/Vol.68/documents/Vol.68,No.5,p…
- キヤノンサイエンスラボ・キッズ「花火の色のひみつ」global.canon/ja/technology/kids/mystery/m_04_11.html
- ページnewswitch.jp/p/5884
- PDF((「必見!良い花火のポイント」。読みは冊子のふりがな:消え口=「き」「くち」))city.ise.mie.jp/_res/projects/default_project/_page_/00…
- 記事allabout.co.jp/gm/gc/444300
- 記事theconversation.com/red-white-but-rarely-blue-the-science-o…
- PDF ((DOI 10.1002/prep.202000114))epub.ub.uni-muenchen.de/75968/1/prep.202000114.pdf
- NIST Handbook of Basic Atomic Spectroscopic Data「Strong Lines of Sodium」physics.nist.gov/PhysRefData/Handbook/Tables/sodiumtable…
- ページen.wikipedia.org/wiki/Pyrotechnic_colorant
- PDF((2017年作成のPDF))pref.yamagata.jp/documents/5032/mondai1.pdf
- 10.25039/CIE.DS.xvudnb9b(、CC BY-SA 4.0)。calc/data/ に保存)doi.org/10.25039/CIE.DS.xvudnb9b
- 気象庁 子ども向けFAQ「雷が光ってから、音が聞こえるまでに差があるのはどうしてなの?」jma.go.jp/jma/kids/kids/faq/a3_16.html
- 東京タワー公式サイトtokyotower.co.jp/about
- 日本煙火協会「よくあるQ&A」hanabi-jpa.jp/uchiage/faq.html
- Pexels のライセンスpexels.com/license
- PDFwarwick.ac.uk/fac/sci/physics/outreach/resources/fact…
- ページenglish.metro.tokyo.lg.jp/w/000-101-007591
- ライセンスcreativecommons.org/licenses/by-sa/4.0
