紙おむつの吸う力はどこから来た?巻き戻してたどる |逆再生ファクトリー #07
答え
- 紙おむつの吸う力は、粉の粒の中のナトリウムが生み、そのもとは海の水から作った塩です。
- 典型的な1枚(吸水材およそ12 g)のナトリウムは、海水およそ200 mL、コップ1杯ほどの分です。
- 日本のかせいソーダ工場が使う塩はすべて輸入で、この回の例は西オーストラリアの天日塩田です。
ほかの言い方紙おむつ 仕組み紙おむつ 何でできている高分子吸水材 作り方吸水ポリマー 原料紙おむつ 吸水 なぜ
動画
再生を押すと、YouTube の動画をこのページの中で読み込みます。 YouTube で見る
解説
動画の流れ
紙おむつは、どうしてあんなに水を吸えるのでしょう。「逆再生ファクトリー」が、売り場の1枚から、吸う力のもとまで巻き戻します。
巻き戻した道すじ
道すじは一例です。
| 場所 | そこで何をしているか | 時代・年代 |
|---|---|---|
| 売り場 | 紙おむつを売る。 | 現代 |
| おむつ工場 | 不織布・パルプ・高分子吸水材・フィルムを重ねて切る。 | 現代・売り場に届く前 |
| 吸水材の粒(寄り道) | 粒の中のナトリウムイオンが、水を中へ呼びこむ(仕組みの説明)。 | — |
| 吸水材の工場 | アクリル酸をかせいソーダで一部中和し、つないでゲルにし、乾かして粉にする。 | 現代・おむつを作る前 |
| 電気分解の工場 | 食塩水に電気を流し、かせいソーダ・塩素・水素を作る。 | 現代・吸水材を作る前 |
| 塩の船 | 西オーストラリアの塩田から日本へ塩を運ぶ(輸送は模式図)。 | 現代 |
| 天日塩田 | 海水を池に引き、日と風で水を飛ばし、塩を結晶させる(多くの天日塩田では約2年かけて池を流す)。 | 現代・船に積む前 |
| 海 | 塩田に引き入れる海水。 | 現代 |
この回で分かる事
- 紙おむつで水をつかまえる主役は、白い粉(高分子吸水材)です。重さの一例では全体の2割ほどです(パルプ52%・樹脂28%・高分子吸収材20%、環境省資料の例)。
- 粉が水を吸うのは、粒の中のナトリウムが外の水を呼びこむからで、海の水をまねた液ではあまり吸えません(同じ製品の表で、純水300〜1,000倍・人工海水10〜20倍)。
- 粉の中のナトリウムは塩から作るかせいソーダから来ていて、典型的な1枚(吸水材およそ12 g)で海水コップ1杯ほど(約200 mL)のナトリウムです。
計算のしかた
- 吸水材 12 g(BASF の「典型的な量」)のうち、アクリル酸の部分の 70〜75%(モル)がナトリウムと組んでいるとして(特許の「通常」の値)、ナトリウムは約 2.2〜2.3 g。
- 食塩にすると約 5.6〜5.9 g 分(かせいソーダは食塩から 1 対 1 で作るとした、少なめの見積り)。
- 海水 1 kg にはナトリウムが約 10.8 g(TEOS-10)なので、海水にすると約 200〜211 mL 分。中和の割合を 50〜80% まで動かしても 150〜223 mL で、「コップ1杯ほど」は変わりません。
出典
動画とこのページで使った事実・数字の出どころです。
- 環境省「使用済紙おむつのリサイクルに関する情報整理」資料3、2ページenv.go.jp/content/900535548.pdf
- 宮澤清(日本衛生材料工業連合会)「使い捨て紙おむつを知る」循環とくらし No.11jsmcwm.or.jp/journal/files/2023/08/014miyazawa.pdf
- 日本触媒「アクアリック CA」shokubai.co.jp/ja/products/detail/aqualic-ca
- 日本触媒「SAP」(イオン交換水・0.9%食塩水・人工海水の吸水量)shokubai.co.jp/ja/products/detail/sap
- 日本触媒 ソリューション事例035(吸水の仕組み)solution.shokubai.co.jp/ja/case/035
- 住友精化「吸水性樹脂」sumitomoseika.co.jp/product/kyusui
- BASF「Superabsorbents」(英語。典型的な赤ちゃん用おむつで約12 g)personal-care-hygiene.basf.com/global/en/hygiene/superabsorbents
- BASF の特許 US8410235B2「Neutralization process」(英語)patents.google.com/patent/US8410235B2/en
- 米国特許 US5856410A(中和の割合 約70〜75 mol%、英語)patents.google.com/patent/US5856410A/en
- 日本触媒「技術の歴史」(1970年 プロピレン酸化法によるアクリル酸)shokubai.co.jp/ja/company/history
- コトバンク「ナフサ分解」kotobank.jp/word/ナフサ分解-1191905
- AGC 技術資料(Research Reports 56)イオン交換膜法agc.com/innovation/library/pdf/56-08.pdf
- 日本ソーダ工業会「概要」jsia.gr.jp/outline
- 環境省資料(水銀法からの転換の完了)env.go.jp/content/900414841.pdf
- 財務省「令和7年度塩需給実績」mof.go.jp/policy/tab_salt/reference/salt_result/2…
- 日本経済新聞 2025年12月12日(工業塩の輸入先)nikkei.com/article/DGXZQOUB230UV0T21C25A1000000
- 塩事業センター「天日塩」shiojigyo.com/siohyakka/made/sundried.html
- 三井物産「塩」mitsui.com/jp/ja/innovation/business/salt/index.html
- TEOS-10 Manual 表D.3(海水の参照組成、英語)teos-10.org/pubs/TEOS-10_Manual.pdf
- NOAA「Why is the ocean salty?」(英語)oceanservice.noaa.gov/facts/whysalty.html
- 写真(加工あり):Rob McGregor「Onslow Salt Stockpile」「Onslow Jetty」、CC BY 3.0creativecommons.org/licenses/by/3.0
- 「Onslow Salt Stockpile」Rob McGregor、CC BY 3.0(https://creativecommons.org/licenses/by/3.0/)。切り出し(右下の車両を除いた)、奥行き、動く塩の粒と追跡の光を追加。commons.wikimedia.org/wiki/File:Onslow_Salt_Stockpile_-_panor…
- 「Onslow Jetty」Rob McGregor、CC BY 3.0(https://creativecommons.org/licenses/by/3.0/)。切り出し・ゆっくりした寄り。commons.wikimedia.org/wiki/File:Onslow_Jetty_-_panoramio.jpg
- 「Superabsorbent Polymer」User:Ritchey、パブリックドメイン。切り出し・拡大。commons.wikimedia.org/wiki/File:Superabsorbent_Polymer.jpg
- 外洋を進むばら積み船の空撮 — Marc Espejo(Pexels ライセンス)。逆再生。pexels.com/video/an-aerial-footage-of-a-ship-on-th…
- 朝の波打ち際 — Kindel Media(Pexels ライセンス)。逆再生。pexels.com/video/7905114
- 塩田の衛星画像:Contains modified Copernicus Sentinel data 2026(Sentinel-2 L2A、2026年10月25日、自然な色。4枚をつなぎ、水の重ねと道すじを追加)dataspace.copernicus.eu
- 地図:NASA「Blue Marble: Next Generation」地形・海底地形つき(NASA Earth Observatory、NASA GIBS 経由)science.nasa.gov/earth/earth-observatory/blue-marble-nex…
- 3D の図解(売り場・おむつ工場・粒の中・吸水材の工場・電気分解・塩)は本回用にプログラムで作成。質感と光:Poly Haven(CC0)polyhaven.com
声・音・絵
- 声:Irodori-TTS(MIT)明るい女性の語り手/英語版 Kokoro-82M(Apache-2.0)af_sarah
- 音楽:「時計図書館」MATSU/「考え中」鷹尾まさき/「海底の神殿」KK(OpenTracks)
- 効果音:Freesound・Kenney「Interface Sounds」(すべて CC0。逆向き・切り出しあり。鐘は自作。作者名と一覧は回のページへ)
