430年前と今、東京の地図はどれだけ違う? |地図が動く #01
答え
- 1590年の江戸は入江と湿地の城下町でしたが、18世紀には人口100万人の世界有数の都市になります。
- 1657年の大火、1923年の関東大震災、1945年の東京大空襲と3回広く焼かれ、そのたびに前より広がって再生しました。
- 羽田空港の広がった部分も、お台場も、夢の島も、もとは海だった場所です。
動画
再生を押すと、YouTube の動画をこのページの中で読み込みます。 YouTube で見る
解説
動画の流れ
430 年前、東京は湿地の広がる小さな城下町でした。この動画は、その町がどうやって 3,700 万人の街になったかを、地図の早送りで見るものです。
地図の元になった値
動画の地図は、下の値をもとに描いています。「概算」と書いた所は、統計の総数や史料の記述をもとに、地図の上に配ったり手で描いたりした所です(説明欄では「概観の再現」と書いています)。
人口
「区部」は東京の中心部(いまの 23 区の範囲)、「東京圏」は東京とそのまわりの県を合わせた広い範囲です。
| 年 | どこの人口 | 値 |
|---|---|---|
| 18 世紀 | 江戸 | 100 万人を超え、当時の世界でも有数の大都市に |
| 1945 年の夏(戦争が終わった時) | 区部 | 戦争中のはじめのころの約 4 割まで減る(空襲と疎開のため) |
| 1962 年 | 東京都 | 1,000 万人を超える |
| 1965 年 | 区部 | 889 万人 |
| いま | 区部 | 過去最多を更新し続けている |
| いま | 東京圏 | 約 3,700 万人(オーストラリア大陸じゅうの人口より多い) |
地図の人口の点の作り方
人の多い所ほど点が濃く集まり、新しく人が住み始めた所は点が朱に光ってから墨の色に落ち着きます。年代によって、点のもとにした値が違います。
| 年代 | 点のもと | 種類 |
|---|---|---|
| 江戸時代 | 手で描いた町の区域(30 か所ほど)に人口を配った | 概算 |
| 1872〜1965 年 | 都県と区部の人口の総数(1920 年からは国勢調査の値)を、開業した線路と町の中心への近さで配った | 概算 |
| 1970〜1990 年 | 1995 年の 1 km メッシュ(1 km 四方のます目ごとの人口)をもとにさかのぼり、人口の総数は国勢調査の都県別人口に合わせた。街の広がりの形は、衛星から見た建物の広がり(GHSL)による | 概算 |
| 1995〜2020 年 | 国勢調査の 1 km メッシュの人口をそのまま使い、建物のある所に 31〜500 m のます目で細かく配り直した | 統計の値 |
陸と海(埋め立て)
| 年 | 場所 | 地図で起きること |
|---|---|---|
| 1590 年 | 江戸の海岸 | 海が深く入り込み、城と入り江のまわりに湿地が広がる(岸の形は概算。細部は数百 m ずれる所がある) |
| 1592・1603・1620 年ごろ | 日比谷入江 | 3 段階で埋め立てられて陸になる(形は概算) |
| 江戸時代 | 八丁堀・築地・深川・砂村など | 1590 年の岸から沖へ、少しずつ埋め立てが進む(形は概算) |
| 1868 年ごろ | 幕末(江戸時代の終わり)の海岸 | 江戸が東京になるころの岸(概算) |
| 明治〜令和 | 東京湾の埋立地(月島・豊洲・お台場など) | 陸になった年代の順に、区画ごとに陸が現れる。「海を食べる」の場面では、もとは海だった所が小麦色に染まる(年代は、東京湾環境情報センターの年代別の図をいまの海岸線に重ねて、色を読み取った) |
| 1931 年 | 羽田飛行場 | 53 ha(ヘクタール。1 ha は 100 m 四方)、300 m の滑走路 1 本の小さな飛行場(形は概算) |
| 1957〜1967 年 | 夢の島 | 東京のごみで埋め立てられて広がる |
| いま | 羽田空港 | 1,522 ha(1931 年のおよそ 30 倍)、滑走路 4 本。新しい滑走路は海の上 |
| いま | 東京湾 | 人工の島が 70 をこえる。埋め立てで干潟は大きく減った |
| いま | 低い土地 | 海面より低い所がある(国土地理院の標高で、海抜 0 m 未満の範囲を色分け) |
線路と町
| 年 | 出来事 | 地図で起きること |
|---|---|---|
| 1868 年 | 江戸が東京と名前を変える | — |
| 1872 年 | 日本で初めての鉄道が新橋〜横浜に開業 | 朱の線路が引かれ始める |
| 1920 年まで | 線路が放射状に伸びる | 人口の点が線路に沿って増える |
| 1923 年 | 田園調布で、畑だった丘に住宅地が売り出され始め、都心の外に住んで電車で通う暮らしが広がる | 田園調布の区域が現れる(形は概算) |
| 1950 年代〜1965 年 | 焼け跡から家が建ち、線路が伸び、丘が削られて新しい町が生まれる | 焼け跡が埋まり、西の丘へ点が広がる |
| 1971 年 | 多摩ニュータウンで入居が始まる | 多摩丘陵の緑が住宅地に変わる(開発区域の形は概算) |
線路は、67 の路線を 139 の区間に分け、開業した年の順に先端を光らせながら引いています。開業年は、Wikipedia の各路線の記事によります。
3 回の大きな火
| 年月日 | 出来事 | 焼けた所 | 亡くなった人 |
|---|---|---|---|
| 1657 年 | 明暦の大火 | 江戸の街の 6 割 | 数万人と伝えられる |
| 1923 年 9 月 1 日の昼前 | 関東大震災(地震のあとの火災) | 東京の街の 4 割以上 | 関東全体で 10 万人以上 |
| 1945 年 3 月 10 日の未明 | 東京大空襲(およそ 300 機のアメリカの爆撃機) | 東京の東側を一夜で | およそ 10 万人と伝えられる |
地図の焼けた範囲の形は、史料をもとに手で描いた概算です。
使った地図・衛星データ
| 何に使ったか | 資料・いつの | 配布元 |
|---|---|---|
| いまの海岸線・川・堀・池・線路・駅・羽田の滑走路 | OpenStreetMap の関東のデータ(Geofabrik の抽出)。2026 年 10 月 5 日取得 | © OpenStreetMap contributors |
| 関東より外の陸(日本全体まで引く場面) | Natural Earth 10m(1,000 万分の 1 の縮尺の世界地図データ) | Natural Earth |
| 台地と低地の陰影・低い土地の色・海抜 0 m 未満の範囲・昔の湿地の範囲のめやす | 地理院タイルの標高タイル(dem_png) | 国土地理院 |
| 明治〜令和の埋立地の年代 | 「東京湾の年代別埋立状況」の図(埋立地を年代ごとに色分けした図) | 東京湾環境情報センター |
| 人口の点(1995〜2020 年) | 国勢調査 地域メッシュ統計(1 km のます目、5 年ごと) | e-Stat(総務省統計局) |
| 人口の点の細かな形・1970〜1990 年の街の広がり | GHSL GHS-BUILT-S R2023A(衛星から見た建物の広がり。1975・1990・2005・2020 年) | European Commission Joint Research Centre |
| はじめ・引いた場面・結びの夜景 | NASA Black Marble(2016 年の夜の光を 1 年分合成) | NASA |
古地図や昔の空中写真は使っていません。1590 年と幕末の海岸線、江戸の城・堀・町の区域、焼けた範囲、田園調布と多摩ニュータウンの区域、1931 年の羽田飛行場は、いまの地形と地名の位置、史料の記述を手がかりに手で描いた概算です。江戸の切絵図(町ごとに分けて描いた古地図)の地名データは、図ごとの向きや縮尺が分からず、位置を合わせられなかったため使っていません。
この回で分かる事
- 1590 年に徳川家康が入った江戸は、入り江を埋めて堀を掘り、湿地を作り替えて造られた街です。
- 江戸・東京は明暦の大火(1657 年)・関東大震災(1923 年)・東京大空襲(1945 年)で 3 回大きく焼けても、そのたびに前より広がってよみがえり、線路に沿って西へ、多摩の丘へと伸びました。
- 東京は海にも広がり、月島・豊洲・お台場・夢の島や羽田空港の広がった所はもとは海でしたが、その分、東京湾の干潟は大きく減りました。
ショート
出典
動画とこのページで使った事実・数字の出どころです。
- e-Stat 統計GIS(総務省統計局)(国勢調査 地域メッシュ統計(1 km・1995〜2020 年)。人口の点のもと。2026 年 10 月 5〜6 日取得)e-stat.go.jp/gis/statmap-search
- e-Stat 政府統計の総合窓口(総務省統計局)(国勢調査 都道府県別人口の長期系列(1920〜2005 年)。1920〜1990 年の都県の人口の総数に使用。2026 年 10 月 5 日取得)e-stat.go.jp
- Wikipedia 日本語版「東京都区部」(区部の人口の表(国勢調査・1920〜1995 年)。見た日の記録なし)ja.wikipedia.org/wiki/東京都区部
- 東京湾環境情報センター(「東京湾の年代別埋立状況」。埋立地の年代に使用。2026 年 10 月 5 日取得)tbeic.go.jp
- 国土地理院「地理院タイル一覧」(標高タイル(dem_png)。地形の陰影・低い土地・海抜 0 m 未満の範囲に使用。2026 年 10 月 5〜6 日取得)maps.gsi.go.jp/development/ichiran.html
- OpenStreetMap(© OpenStreetMap contributors(ODbL)。いまの海岸線・川・堀・線路・駅(Geofabrik の関東の抽出)。2026 年 10 月 5 日取得)openstreetmap.org/copyright
- Natural Earth(10m の陸のデータ(パブリックドメイン)。2026 年 10 月 5 日取得)naturalearthdata.com
- GHSL(European Commission Joint Research Centre)(GHS-BUILT-S R2023A(1975・1990・2005・2020 年)。© European Union, 1995-2024. Source: European Commission Joint Research Centre(CC BY 4.0)。2026 年 10 月 5 日取得)ghsl.jrc.ec.europa.eu
- NASA Earth Observatory「Night Lights」(NASA Black Marble(2016 年・年間合成)。Credit: NASA。2026 年 10 月 5 日取得)earthobservatory.nasa.gov/features/NightLights
- Wikipedia 日本語版「ゼロメートル地帯」(海面より低い土地。見た日の記録なし)ja.wikipedia.org/wiki/ゼロメートル地帯
- IPCC 第 6 次評価報告書(海面の上昇。見た日の記録なし)ipcc.ch/assessment-report/ar6
- Wikipedia 日本語版(個別の史実(江戸、日比谷入江、明暦の大火、東京、東海道本線、東京港、田園調布、関東大震災、東京大空襲、東京都、多摩ニュータウン、夢の島、東京国際空港、お台場、東京湾、首都圏 ほか)と、各路線の記事の開業年(67 線・139 区間)。見た日の記録なし)ja.wikipedia.org
