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ふるさと納税「2026年10月から改悪」は半分違う|控除は変わらず、変わるのは返礼品側です

2026-09-13 ・ 読了目安 9分

2026年10月1日に、ふるさと納税の制度が変わります。検索すると「改悪」「駆け込み」という言葉が並びますが、何が変わって何が変わらないのかを、総務省と国税庁の原文で確かめました。

結論を先に3行で書きます。

  • あなたの控除は1円も変わりません。 計算式も、自己負担2,000円も、ワンストップ特例も、返礼品の3割ルールも、10月1日をまたいで同じです。
  • 変わるのは、自治体が満たすべき基準です。 寄附された額のうち自治体の手元に残す割合に、下限が設けられます。2026年から2029年にかけて、4段階で上がります。
  • だから「10月までに寄附しないと損をする」は、制度としては成立しません。 ただし、欲しい返礼品がもう決まっている人には、2026年9月中に動く理由があります。理由は制度ではなく商品の側にあります。

以下、根拠になる原文を引きながら順に見ていきます。この記事の数字と引用は、すべて総務省・国税庁が公開している一次資料から取りました(末尾に出典)。

10月から改悪?

10月から改悪?
10月から改悪?

検索してこのページに来た方の多くは、こういう見立てを持っていると思います。「10月から改悪される。だから9月のうちに寄附したほうがいい」。

行き先は、実はこの記事の結論と同じです。 欲しい返礼品が決まっているなら、2026年9月中に寄附して構いません。

違うのは理由です。 「控除が減るから急げ」ではありません。控除は変わらないからです。急ぐ理由があるとしたら、それは返礼品の側にあります。ここを取り違えると、急ぐ必要のない人まで急ぐことになり、上限を超えて寄附して自己負担が増える、という一番もったいない失敗につながります。

変わらないもの

まず、変わらない側から確かめます。

総務省が公表した令和8年度税制改正関連資料には、改正後の関係条文が載っています。ふるさと納税の控除を定めているのは地方税法第37条の2で、その第1項が控除そのものの規定です。資料の該当ページは、こうなっています。

(寄附金税額控除)

第三十七条の二 略

 前項の特例控除対象寄附金とは、同項第一号に掲げる寄附金…であつて、この項の規定による指定…の対象となる期間…を通じて第一号、第二号、第五号及び第六号に掲げる基準…に適合すると認められる都道府県等として総務大臣が指定するものに対するものをいう。

第1項が「略」になっていること自体が答えです。 改正の対象は第2項、つまり「どの自治体を対象団体として指定するか」の基準だけで、寄附した人の控除の規定には手が入っていません。

控除の中身は、国税庁のタックスアンサー No.1155(令和8年4月1日現在法令等)にあるとおりです。

① 所得税 (ふるさと納税額 - 2,000円)を所得控除(寄附金控除)

② 個人住民税(基本分) (ふるさと納税額 - 2,000円) × 10%を税額控除

③ 個人住民税(特例分) (ふるさと納税額 - 2,000円)×(100% - 10%(基本分)- 所得税率)

上記①および②により控除できなかった額を、③により全額控除(所得割額の20%を限度)します。

返礼品の3割ルールも変わりません。 改正前・改正後どちらの条文にも、返礼品の調達費用は寄附額の「百分の三十に相当する金額以下」と同じ文言で書かれています。「10月から返礼品が2割になる」という話を見かけたら、それは条文にありません。

2026年10月1日以降
控除の計算式変わらない
自己負担2,000円変わらない
ワンストップ特例変わらない
返礼品3割ルール変わらない

変わったのは基準

変わったのは自治体の基準
変わったのは自治体の基準

では何が変わったのか。自治体が「ふるさと納税の対象団体」として指定を受けるための条件です。

2026年3月31日付の総務省告示第145号が、平成31年総務省告示第179号を改正しています。新旧対照表を見ると、改正前の第2条第2号――募集にかかった費用の総額が寄附金の5割以下であること――の欄に、はっきり「[削る]」と書かれています。附則にはこうあります。

1 この告示は、令和八年十月一日から施行する。

削られた5割ルールの代わりに入るのが「寄附金活用可能額」です。 寄附された額から募集経費を引いて、自治体の手元に残る額のこと。改正後は、これが寄附額の一定割合以上であることが条件になります。

規制の形が裏返った、と言うと分かりやすいと思います。 これまでは「経費は5割まで」という上限の規制でした。これからは「自治体に残す額は◯%以上」という下限の規制になります。あわせて、その使いみちの公表も義務づけられました(告示第4条。決算を議会の認定に付したあと、遅滞なく自治体のウェブサイトに掲載する)。

なお、現行の制度に「50%以上を残すこと」という下限の定めはありません。 経費が5割以下なら結果として5割は残る、というだけです。この違いは細かいようですが、次の表を読むときに効いてきます。

自治体に残す額は、4年かけて上がります

段階適用の数字は、令和8年度税制改正関連資料に一覧と図で載っています。

寄附金活用可能額(寄附金のうち地方団体が活用できる財源)の割合を60%以上と設定するとともに、使途を公表。

令和8年指定から段階的に適用する。(R8:52.5%、R9:55%、R10:57.5%、R11:60%)

表にすると、こうなります。募集経費の欄は、活用可能額から逆算した結果です。

時期自治体に残す額(寄附金活用可能額)募集経費
現行下限の定めなし5割以下
2026年10月〜52.5%以上47.5%以下
2027年10月〜55.0%以上45.0%以下
2028年10月〜57.5%以上42.5%以下
2029年10月〜60.0%以上40.0%以下

「2026年10月に52.5%、いずれ60%」という2行だけの説明をよく見かけますが、間に2年ぶんの段があります。 自治体にとっては、一度きりの調整ではなく、4年かけて続く圧縮です。

ちなみに、令和8年の指定対象期間は2026年10月1日から2027年9月30日までです。

変わるのは返礼品

変わるのは返礼品
変わるのは返礼品

自治体の側から見ると、寄附1万円あたりに使える経費が、5,000円から4,750円に下がります。返礼品そのものの3割(3,000円)は動かせません。 つまり削る先は、ポータルサイトの手数料・送料・決済手数料・事務費といった、返礼品以外の部分です。

ここから先は、起きうることとして読んでください。一次資料に「こうなる」とは書かれていないからです。

  • 経費の重い返礼品(送料のかさむ大型品・冷蔵冷凍品など)が、掲載を終える
  • 同じ返礼品でも、必要な寄附額が上がる
  • 自治体が使うポータルサイトを絞る

特定の品目が消える、といった予測は、この記事では書きません。 確かめる方法がないからです。ただ、すでに「これが欲しい」と決まっている返礼品があるなら、その1点については、10月1日を待つ理由はありません。

「10月までに駆け込め」は、制度としては成立しません

制度として損が出るわけではない、という話をもう少しはっきりさせておきます。

総務省は2026年8月20日付の通知で、ポータルサイトの表現について、こう書いています。

「コスパ」、「特別寄附額」、「特別規格」、「家計応援」、「物価高応援」など、通常よりも必要寄附金額が割安であると寄附者に認識させる表現を用いた事例が散見されており、これらは募集適正基準に違反するおそれが高いと考えています。また、将来的な必要寄附金額の引上げを予告して募集を行うことも同様です。

つまり、「10月から値上がりします、今のうちに」という売り方は、自治体とポータルサイトの側では禁じられている表現です。 この通知が縛るのは自治体とポータルであって、解説する第三者ではありません。ですから「その煽りは違反だ」と言いたいのではなく、国がそういう売り方を止めている、という事実のほうを見てください、ということです。

決まってるなら今

決まってるなら今
決まってるなら今

整理します。2026年9月中に動く理由がある人と、ない人がいます。

理由がある人

  • 欲しい返礼品がもう決まっている人。 その品が10月以降どうなるかは分かりません。決まっているなら、待つ意味はありません。
  • 2026年分としてまだ1円も寄附していなくて、年末に忘れそうな人。 ふるさと納税は暦年で数えるので、締切は12月31日です。これは改正と関係なく、毎年の話です。

理由がない人

  • 何を選ぶかまだ決めていない人。急いで選んだ結果、上限を超えて寄附すると、超えた分は全額自己負担になります。 改正で失うかもしれない額より、こちらのほうがはっきり損です。
  • 「制度が悪くなる前に」と思っている人。悪くなるのは控除ではありません。

改正よりも、こちらのほうが損しやすい

最後に、制度改正より金額の実害が大きい3点を挙げます。いずれも国税庁のタックスアンサー No.1155 に書かれていることです。

1. 確定申告をすると、ワンストップ特例は無効になります。

確定申告を行う方は、ふるさと納税ワンストップ特例の申請が無効となるため、ワンストップ特例の申請をした分も含めて寄附金控除額を計算する必要があります。

医療費控除を受けるために確定申告をした、という場合も含みます。申請済みの分も申告し直さないと、控除がそのまま消えます。 誤って申告してしまった場合は、更正の請求で救済されます。

2. 確定申告書 第二表の記入漏れ。

「住民税に関する事項」の「都道府県、市区町村への寄附(特例控除対象)」欄などが記載されていない場合には、個人住民税の賦課決定の際に控除されないこともあります

3. 上限を超えた分は、自己負担です。 特例分の控除は所得割額の20%が限度なので、そこで頭打ちになると、実質負担は2,000円では済みません。

控除の上限額は、収入・家族構成・他の控除で変わります。 シミュレーターの数字はあくまで目安です。総務省も、具体的な計算はお住まいの市区町村に確認するよう案内しています。

なお、返礼品を受け取ったことによる経済的利益は一時所得にあたります(総務省通知)。他の一時所得と合わせて年50万円の特別控除の範囲に収まる方がほとんどですが、大きな額を寄附する場合は意識しておいてください。

※この記事の内容は2026年9月13日時点で公開されている一次資料に基づいています。2026年10月1日以降の法令本文は、施行後に改めてご確認ください。

※税額や控除上限額の個別の判断については、お住まいの市区町村または所轄の税務署にご確認ください。

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